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幕間6 大英帝国 配置・装備編成大鑑

【大英帝国 統治構造と戦略】

1942年8月、アドルフ・ヒトラーが発動した「アシカ作戦(英本土上陸)」により、大英帝国の心臓たるロンドンは陥落した。

ドイツ第9軍の装甲部隊によって世界の富を支配した金融街「ザ・シティ」は灰燼に帰し、イングランド銀行の地下金庫は爆破された。ウィンストン・チャーチル首相および王室は、スコットランドを経由してカナダのオタワへと逃れ、辛うじて「大英帝国亡命政府」を樹立した。


しかし、彼らが直面しているのは単なる領土の喪失ではない。ロンドンのイングランド銀行地下で、日本側の特務機関(鳥居忠道)とドイツ軍政治将校の結託によって、豊栄大日本帝国を縛り付けていた「天文学的なポンド建て国債の原本」と「豊秋津島のインフラ抵当権証明」が物理的に強奪・消滅させられたのである。これにより、大英帝国は日本に対する「債権者」としての国際法上の実体と証明手段を完全に失い、国家財政は名実ともに破綻した。


さらに、1942年9月には東洋の要石であった要塞シンガポールが、山下奉文率いる日本軍の「双頭の鉄脚」の前に完全無条件降伏。

大英帝国はもはや「太陽の沈まない国」ではなく、地球上の各地に点在する植民地で、本国からの兵站を絶たれたまま死を待つ「孤立した残党の群れ」へと転落したのである。


それでもなお、彼らにはまだ海に浮かぶ戦力が残されていた。

1940年のダイナモ作戦において、イギリス海軍本部はドーバー海峡の防衛を実質的に放棄し、33万人におよぶ精鋭部隊をフランスの砂浜で見殺しにしてまで、無数の駆逐艦や護衛艦艇を極東・インド・地中海といった「植民地・資源地帯」へ優先的に回航させていた。

シンガポールへ送られた最強の執行艦隊(Z部隊・計35隻)こそ前年11月のジャワ海で日本海軍に蒸発させられたが[5]、その「本国を見捨ててまで植民地へ送られた旧式艦と小型艦艇の群れ」は、今もインド洋や地中海に不気味な質量として滞留し、帝国維持の執念を燃やし続けている。


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亡命本国艦隊 および 大西洋・北米方面軍

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司令長官:ジョン・トーヴィー 大将(カナダ・ハリファックス基地拠点)


ナチス・ドイツの英本土上陸に伴い、スカパ・フローを放棄して大西洋を渡り、カナダ東岸のハリファックスへと逃れ落ちたイギリス本国艦隊の残党。アメリカの大西洋艦隊の庇護下に入り、辛うじて艦隊としての体裁を保っているが、独自の弾薬や燃料の補給能力を完全に喪失しつつある。


【亡命水上打撃部隊】

16インチ(40.6センチ)砲搭載戦艦 2隻:ネルソン / ロドニー

正規航空母艦 2隻:ヴィクトリアス / フューリアス

重巡洋艦 4隻:デヴォンシャー / サセックス / ノーフォーク / サフォーク

軽巡洋艦 8隻:シェフィールド / バーミンガム / グラスゴー / ジャマイカ / ベルファスト / エディンバラ / ケニア / モーリシャス

駆逐艦 42隻:トライバル級12隻、J・K・N級30隻


【運用ドクトリンおよび現状】

Z部隊として極東へ送られ、日本軍の『流星』によって海の底へ沈んだキング・ジョージ5世級などの最新鋭艦を失った今、大英帝国に残された最強の矛は、16インチ砲を前甲板に3基集中配置した異形の戦艦『ネルソン』および『ロドニー』の2隻のみとなった。

現在彼らはアメリカ海軍の指揮下に完全に組み込まれ、ドイツのUボート群から大西洋航路を護る船団護衛の脇役へと甘んじている。修理や予備部品の補充はすべてアメリカの規格に依存せざるを得ず、かつて七つの海を支配した誇り高き王立海軍ロイヤル・ネイビーの威信は見る影もない。



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地中海艦隊 および インド防衛軍

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本国が陥落した今、大英帝国にとっての実質的な「国家の心臓」となっているのが、スエズ運河を挟んで広がる地中海(中東)およびインド亜大陸の防衛軍である。ダイナモ作戦の33万人の犠牲と引き換えに送り込まれた天文学的な数の旧式艦と小型艦艇が、この海域に異常な密度でひしめき合っている。


■ 地中海艦隊(エジプト・アレクサンドリア拠点)

司令長官:アンドルー・カニンガム 大将


北アフリカを東進するロンメル率いるドイツ・アフリカ軍団およびイタリア海軍と血みどろの死闘を繰り広げ、中東の油田とスエズ運河を死守するための巨大な防壁。


【配備戦力】

近代化改修戦艦 3隻:ウォースパイト / ヴァリアント / クイーン・エリザベス

正規航空母艦 2隻:フォーミダブル / イーグル

軽巡洋艦 12隻:オライオン / エイジャックス / ダイドー / ユーライアラス / クレオパトラ / シリアス / ディド / ナイアド / ガラテア / アリシューザ / ペネロピ / オーロラ

駆逐艦 58隻:V・W級、A〜I級などの戦間期型駆逐艦群

スループ・コルベット・掃海艇 84隻:フラワー級コルベット等


【運用ドクトリンおよび現状】

第一次世界大戦の生き残りでありながら、徹底的な近代化改修によって強力な打撃力を誇る『ウォースパイト』をはじめとする戦艦3隻が中核。彼らはマルタ島への過酷な輸送作戦を強行し、枢軸国の地中海制覇を力づくで阻んでいる。ロンドンが陥落し、本国からの兵站が途絶したため、現在はアメリカの「トーチ作戦(北アフリカ上陸)」部隊からの余剰物資にすがり、エジプトの生命線を這いつくばるように死守している。


■ 東洋艦隊残存・インド防衛軍(セイロン島・ボンベイ拠点)

司令長官:ジェームズ・サマヴィル 大将


シンガポールの陥落とZ部隊の消滅により、マレー半島および蘭印から完全に叩き出されたイギリス海軍の「極東の残党」。現在はインド亜大陸を日本の魔の手から守るため、セイロンコロンボとインド西岸ボンベイに陣を敷いている。ここには、本土防衛を放棄してまでかき集められた「天文学的な数の旧式艦と護衛艦艇」が密集している。


【配備戦力】

旧式戦艦(R級戦艦およびクイーン・エリザベス級) 5隻:リヴェンジ / ロイヤル・ソヴリン / ラミリーズ / レゾリューション / マレーヤ

旧式航空母艦 2隻:エルメス / アーガス

重巡洋艦 5隻:コーンウォール / ドーセットシャー / ロンドン / シュロップシャー / カンバーランド

軽巡洋艦 15隻:エンタープライズ / エメラルド / ダナエ / ドラゴン / ダーバン 他

駆逐艦 112隻:ハント級護衛駆逐艦、および旧式V・W級駆逐艦の群れ

特設護衛艦・トローラー・コルベット 156隻


【運用ドクトリンおよび現状】

15インチ砲を搭載しているものの、最大速力が21ノットしか出ない旧式戦艦群4隻と、装甲の薄い旧式空母を主力とする「数だけは多いが質において絶望的な艦隊」である。

しかし、特筆すべきは112隻の駆逐艦と156隻のコルベットという、異常なまでの小型艦艇の数である。これらは本来、英仏海峡でドイツ軍の上陸を阻止するために配備されるべきであったものだ。チャーチルは「インドの植民地利権と豊秋津島のインフラ強奪」を本土防衛よりも優先し、これらの艦艇をすべてスエズの東へと逃がしていた。

彼らは現在、日本軍の「小沢機動艦隊」の接近を極度に恐れ、インド洋の沿岸にへばりつくようにして港湾防備と局地的な船団護衛のみに従事している。西からはドイツ・アフリカ軍団、東からは日本の第二機動艦隊という二つの強大な力に挟まれ、さらにインド国内では日本が支援するチャンドラ・ボースの独立運動が火を噴き始めているという、完全に詰み(チェックメイト)の一歩手前の状態にある。



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豊秋津島(豪州) 英連邦租界守備隊

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日本の主権下にある豊秋津島大陸において、19世紀の金融危機の際にイギリスが日本の徳川幕府・外様財閥から「借金の返済猶予」を盾にして強奪した、99年間の不平等租借地(シドニー、メルボルン等)[237]。

現在、日本がニューカレドニアとニュージーランドを制圧して外洋のシーレーンを完全に切断したため、内陸部を支配する日本の「外様財閥(島津・毛利等)」の兵力と、外洋を封鎖する「機動艦隊」の間に完全に挟み込まれ、息の根を止められた巨大な監獄と化している。


【シドニーおよびメルボルン守備隊】

英連邦陸軍および民兵組織: 8万5,000名

沿岸防衛砲台: 9.2インチ(234ミリ)要塞砲 12門 / 6インチ(152ミリ)砲 24門

装甲車両: ユニバーサル・キャリア(機銃掃射用小型装軌車) 340両

航空戦力(英連邦空軍残党): ブルースター・バッファロー戦闘機 45機 / ブリストル・ボーフォート雷撃機 32機


【運用ドクトリンおよび現状】

西岸のパースが小沢機動艦隊によって無力化され、東と南の海上ルートも切断されたため、彼らには一隻の補給船も、一機の増援機も届かない。

8万5,000名の兵員は数こそ多いものの、その大半は訓練不足の民兵であり、装備しているのは小口径のライフルと手製の火炎瓶のみ。最新の戦車や重砲は、本国の危機を救うためすでに中東方面へ引き抜かれた後だった。

ロンドンのイングランド銀行が消滅し、彼らがここに居座るための「法的根拠(抵当権と債権)」すらも灰燼に帰した今、彼らは食料と燃料が尽き果てるのをただ待ち、日本の財閥が差し出す「租借権の返上(無条件降伏)」の書類に署名する日を恐怖とともに待つだけの存在に成り果てている。



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大英帝国 航空機・陸戦兵器ドクトリン

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本国ロンドンの工業地帯が完全に消滅した大英帝国にとって、新たな兵器の生産は事実上不可能となった。インドや中東、豊秋津島に取り残された部隊は、限られた予備部品の共食い整備カニバリゼーションと、現地での涙ぐましい手作業による改修によって、辛うじて兵器を稼働させている。


■ 航空機群

スーパーマリン・スピットファイア 戦闘機

残存稼働数(中東・インド方面): 214機

エンジン: ロールス・ロイス マーリン液冷発動機(1,030〜1,470馬力)

武装: 7.7ミリ機関銃 8挺(または20ミリ機関砲 2門および7.7ミリ機関銃 4挺)


【運用ドクトリン】

かつてバトル・オブ・ブリテンでドイツ空軍と鎬を削った傑作戦闘機。美しい楕円翼と極限まで洗練された空力設計を持つが、その精緻さゆえに整備が難しく、本国からのロールス・ロイス製エンジンの供給が完全に絶たれた現在、稼働率は30パーセントを割り込んでいる。熱帯の砂塵や湿気に弱く、日本の『烈風』が持つ暴力的な1500馬力の出力と堅牢な防弾装甲の前に、速度・上昇力・旋回性能のすべてにおいて完全に劣勢に立たされている。


ホーカー・ハリケーン 戦闘機

残存稼働数(中東・インド方面): 450機

武装: 7.7ミリ機関銃 8挺(または20ミリ機関砲 4門)


【運用ドクトリン】

スピットファイアの陰に隠れがちだが、鋼管羽布張りの無骨な構造ゆえに前線での修理が容易であり、現在の大英帝国にとって最も頼りになるワークホース(実用機)である。しかし、基本設計の旧式化は否めず、日本の『凱風』や『烈風』にすら容易く背後を取られる。現在は主に地上攻撃や、低速での直衛任務に限定して運用されている。


フェアリー・ソードフィッシュ 艦上雷撃機

残存稼働数: 185機

最大速度: 時速222キロメートル(雷装時)

武装: 18インチ(45.7センチ)航空魚雷 1本


【運用ドクトリン】

時代遅れの複葉機であり、布張りの機体と固定脚を持つ。その鈍足さは日本の『天山』や『流星』から見れば滑稽なほどであるが、低速ゆえの異常なまでの操縦安定性と、魚雷投下時の精度の高さは本物である。イタリア海軍をタラント空襲で壊滅させた実績を持つが、アメリカが供与したVT信管がない状態では、日本の『秋月型防空駆逐艦』が張る濃密な長10センチ高角砲の弾幕の前に、ただの動く標的に過ぎない。


■ 陸戦兵器

マチルダII 歩兵戦車

残存稼働数(エジプト・インド防衛軍): 620両

前面装甲厚: 78ミリ

主砲: 2ポンド(40ミリ)戦車砲

最大速度: 時速24キロメートル


【運用ドクトリン】

歩兵と随伴して敵陣地を突破するために設計された、イギリス陸軍を代表する重装甲戦車。78ミリという圧倒的な前面装甲は、ドイツ軍の標準的な対戦車砲をことごとく弾き返す「戦場の女王」であった。

しかし、最高速度はわずか時速24キロメートルに過ぎず、日本の外様財閥遊撃隊が駆る自動車化部隊の時速数十キロメートルの機動力や、水戸徳川造兵工機製の150ミリ重加農砲の直撃の前には、単なる「硬いだけの鉄の棺桶」と化してしまう[102]。

本国陥落により追加生産は不可能となり、被弾して動けなくなった車両をトーチカ(固定砲台)として再利用し、ドイツ軍や日本軍の進撃を少しでも遅らせる絶望的な運用が日常化している。


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