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引きこもりニートのコンビニ籠城生活 〜店から出たら即死な異世界迷宮に、なぜかWi-Fiがつながる店舗ごと転移しました〜  作者: autofocus


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第7話:店長、必死の騙し討ちとまさかの再会

「い……い、いらっしゃいませぇぇ~……!」


俺は絵に描いたような、それはそれは見事な揉み手と媚びた態度で、侵入……もとい、ご来店された『お客様』をお迎えした。


「外は大変暑かったでしょう!? ただいまエアコンを最強にしております! キンキンに冷えた缶コーラなどはいかがでしょうか!?」


顔面の筋肉を総動員して、引きつった営業スマイルを作りながら少女を迎え入れる。

少女ははじめこそ、傷一つつけられなかった建物にあっさりと入れた驚きと、生まれて初めて見る現代日本の異界の品々に、キョロキョロと目を丸くして圧倒されていた。


だが、レジカウンターの前にいる俺の顔を視界に捉えた瞬間。

その美しい瞳は、一瞬で獲物を絶対逃さない冷徹な暗殺者のそれへと変貌した。


まずい……限りなくまずい。あれは完全に「殺す」という強い意志の目だ。


俺はジリジリと後ずさりを始める。

少女は抜き放った細剣をギラつかせたまま、無言で、しかし確実な足取りで俺に近づいてくる。

デッドラインまで、あと数歩。俺の脳細胞が超高速で生存戦略を弾き出した。


「あっ、危ない!!! 外に巨大な魔物がっ!!!(大声)」


俺は全力を込めて、コンビニのガラス越しに外のマグマ地獄を指さした。


「なっ……!?」


少女が本能的に外へと気を取られた──その一瞬の隙を見逃さず、俺はレジの横をすり抜け、バックヤードの扉めがけて脱兎の如く全力疾走した。


「貴様っ、謀ったな……!」


背後から、少女の怒りが限界突破した凄まじい怒号が追いかけてくる。

振り返ったら死ぬ。俺はバックヤードの扉を激しく弾くように開け、室内に転がり込んだ。


「アラクネ!!! アラクネ!!!!! 助けてくれええええ!!!!」


俺は喉がちぎれんばかりに、居候バイトの名前を叫ぶ。

引きこもりニートが生き残るための、これが人生を賭けた最後のギャップオールイン。あの狂暴な美少女を止められるのは、同じく人外であるアラクネしかいない!


俺の悲鳴に呼ばれて、天井の配管から、銀髪を揺らしながらアラクネがゆっくりと降りてきた。

その目はまだ半分眠っているかのように、トロンと重そうだ。


「店長……うるさい。まだ寝てたい……」


「寝てる場合じゃないんだ! あ、あいつを止めてくれ! あそこに『梅おにぎり強盗』が来たんだよ!!!」


【梅おにぎり】という絶対の禁忌ワードに、アラクネの気怠げな瞳が見事にカッと見開かれた。


「……わたしの、梅おにぎりを狙うやつ……絶対に、許さない」


アラクネの背中から漆黒のクモの脚がドスッと生え揃う。ヨシ、交渉成立!

俺はすかさず、世界一安全なアラクネの背中の後ろへと回り込み、ガタガタと震えながら隠れた。


バガァァァンッ!!!


直後、バックヤードの扉が蹴り破られ、怒り心頭の少女が突入してきた。


「あ……あいつだ! あいつが梅おにぎりを全部奪おうとしてる極悪非道な強盗だ、アラクネ!!!」


俺はアラクネの肩越しに、これみよがしに少女を指さして戦力を誘導する。


獲物を睨みつけるアラクネ。

剣を構え、迎え撃つ構えをとる黒髪の少女。

バックヤードの狭い空間に、息が詰まるほどの凄まじい一触即発のプレッシャーが満ちていく──。


二人がバチバチと視線を交わし、緊迫の火花を散らした、次の瞬間。

アラクネが、ふと蜘蛛の脚の力を抜いて、ぽかんと口を開けた。


「……あれ。リゼッタ? どうしたの、そんなところで剣なんか振り回して」


「……は? ア、アラクネ!? なんであんたがこんな怪しい建造物の中にいるのよ!?」


「え?」


俺はアラクネの顔と、リゼッタと呼ばれた少女の顔を交互に見つめながら、開いた口が塞がらなくなっていた。


ちょっと待て。

今、普通に名前で呼び合わなかったか……?

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