第78話:ルカ・タクティクス大成功!……からの、セ〇ン製アパッチ急襲!?
「モカは〜ん。セ〇ンの店までは、あとどれくらいかかるん?」
大型トラックの助手席で、サカモトはこれ見よがしに大きなあくびを噛み殺しながら、呑気に問いかけた。
一方、運転席のモカは、鬼の形相で小さな身体を震わせながらハンドルを必死に握り、助手席のサカモトを激しく睨みつける。
「さっきから!!! 交代した直後から、ずっと私が一人で必死に運転してるんですけどぉっ!?」
「そないに怒らんといてや〜。無事にセ〇ンに着いたら、ぎょうさん美味いもん食わしたるさかいに」
サカモトは涼しい顔でモカの怒りをヒラリと受け流す。
「ふんっ! シュークリーム一個くらいじゃ、今回の重労働は絶対に許しませんからね!」
モカはプイッと怒ってそっぽを向いた。
すると、サカモトはニヤリと邪悪に口元を歪め、小声でモカの耳元に語りかける。
「ここだけの話やけどな……。今度出る新商品に『スイーツバーガー』ちゅう極上の逸品があるんや。それ、わしがモカはんのために、もうオフィスにキープしとるんやで?」
「……っ!!」
その言葉を聞いた瞬間、モカの目がパァァアアと美しく輝いた。
「み、三つは食べますからねっ!?」
「わかっとるがな〜。男サカモト、大サービスで四個食わしたるわ。そやから、もうちょっとだけ頑張り」
「はいっ! お任せください店長──」
ズドォおおおおおおおおんっっッッッ!!!!!
「なっ……なんやっ!? 地震か!?」
突如として、トラックの遙か前方で凄まじい大爆発が巻き起こった。
モカは悲鳴を上げながら、全体重をかけて急ブレーキを踏みつける。キキィイイッ! と激しい摩擦音を立ててトラックが急停止した。
フロントガラスの目の前には、もうもうとした巨大な土煙のカーテンが立ち込めていた。
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「やった……!! よくやったルカ君!!!」
俺は興奮のあまり、隣に座るルカの肩をガシッと力強く抱きしめてそう叫んだ。
ストコンのモニターに映し出されているドローンの暗視映像には、崖から崩落した大量の巨岩と土砂の山が、道路を完全に塞いでいる見事な光景が広がっていた。
やがて、完全に立ち往生したトラックの助手席から、一人の男がゆっくりと降りてくる。
──サカモトだ。
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「……なんや、これは?」
砂煙が薄れる中、サカモトは煙草に火をつけながら、怪訝そうにあたりを見渡した。
しかし、その細められた鋭い眼光が、夜空の暗闇の中で静かにホバリングしているロー〇ソン製のドローンを正確に捉える。
サカモトはすべてを察したように、ふぅーっと紫煙を吐き出した。
「マモルはん……。またあんたの仕業かいな、ほんまに……」
そう言って、サカモトは大袈裟に右手を額に当てて、やれやれと首を振った。
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俺はすぐさま、ストコンのリモート通信で本部の桜塚マネージャーにこの大戦果を報告した。
『素晴らしい対応です、間宮店長、ルカさん。計算通り、我が社の私設特殊部隊がそろそろ現地に到着する頃です。部隊がトラックを包囲・確保するまで、引き続きドローンでその二人の監視を続けてください』
「わかりました! ルカ君、このまま頼むよ!」
「うん……任せて、店長!」
ルカはコントローラーを握り直し、ドローンを上空で円を描くように旋回させながら、眼下のサカモトとモカの監視を厳重に続けた。ミッション完了まで、あと少しだ──。
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一方、道路上でドローンの執拗な動きをじっと眺めていたサカモトは、背後でパタパタと浮いているモカに小声で話しかけた。
「モカはん。こりゃ、楽しみにしとったスイーツバーガーは、一旦お預けになりそうやな」
その言葉に、モカは空中でキィィイイッ! と地団駄を踏みながら悔しがった。
「キーーーーーーッッ!!! マモルの奴、どこまで私の邪魔をすれば気が済むのよっ!!」
「……静かに。モカはん、あのドローンの動き、わしらがどっかへ逃げんように完全に上空からロックオンして監視しとる動きや。──間もなく、ロー〇ソン側の『何か』がここへ来るで」
「えっ!? じゃ、じゃあ店長、早くトラックを置いて逃げなくちゃ!」
慌てて羽を羽ばたかせて逃げようとするモカの羽を、サカモトは後ろからガシッと容赦なく掴んでその動きを制した。
「慌てなや、モカはん。わしが何の手札もなしに、こんな国境沿いまでトラックを走らせるわけがないやろ。──こんなこともあろうかと、上(セ〇ン上層部)に泣きついて、とっておきの『準備』はしといたんや」
サカモトは不敵に笑うと、煙草を投げ捨てて静かに夜空を見上げた。
そのサカモトの視線の先──夜の雲を割って、凄まじい重低音のプロペラ音と共に、一機の巨大な影がサカモトめがけて急速に接近していた。
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「ま、間宮店長……! 上空から、何かが凄まじい速度で近づいてきます……っ!」
ルカが引きつった声で俺を呼ぶ。
「なんだ……!? ドローンのレーダーに反応あり……って、おい、何だあれは!?」
ストコンの画面に映し出されたのは、異世界の荒野にはあまりにも不釣り合いな、無骨で凶悪なフォルムをした戦闘ヘリコプターの姿だった。
「ヘリコプター……みたいですね。あの形状は……まさか、アパッチ……っ!?」
「アパッチィイイッ!? なんでそんなガチの軍用ヘリが、コンビニの配送ルートに飛んでくるんだよぉおおおおおッッ!!!」
俺の絶叫が言い終わるよりも早く。
画面の向こうの戦闘ヘリの機首から、目も眩むような鮮烈な光が連続して発射された。
『ターゲットロック波を確認。──警告、ミサイル接近。回避不能』
ストコンが冷酷な電子音の警告を発する。
「ちょっ!? 店長、これマズいです、ヤバすぎ──うわぁぁぁああああああああああッッッッッ!!!!」
ルカが必死にコントローラーの台座を操作してドローンを急旋回させようとした、その瞬間。
ズガガガガガガガガガガガガッッッッッ!!!!!
凄まじい爆発音と閃光がストコンのメインモニターを真っ白に染め上げ──次の瞬間、カメラからの映像信号がプツリと途絶え、冷たい砂嵐の画面へと切り替わった。
俺たちの唯一の目であり武器だったドローンが、一瞬で木っ端微塵に粉砕されたのだ。
「…………」
バックヤードの静寂の中、俺とルカは完全に言葉を失い、お互いの顔を見合わせたまま、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった──。




