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幕間 異形の道化

「お帰りなさいませ、アトゥス様」

「出迎えありがとぉ、転送させた人間ちゃん達はどうどう?」

「魂の分離は成功しました、問題ありません」


 王都の外れ、常に霧の立ち込める薄暗い森。

その奥に、時が止まったような古びた洋館がひっそりと佇んでいた。


 主人であるアトゥスを迎えるメイドたちは、背丈が同じ、髪型も同じ、そして――顔も。

まるで鏡に映したかのように同じだった。


それをうっとりとした表情で見つめるアトゥスが何かを思い出したかのように手を打つ。


「そうよそうよ!今日はあのジコン殿に会ったのよぉ!」

「ジコン、という名前を存じ上げませッ」

「存じてちょうだぁい、鉱物よりも硬くて美しいアタクシアタクシに、傷をつけた男なんだからぁ!」


 ぱんっ。

乾いた音とともに、メイドの頭部がはじけ飛んだ。

 ほんの数秒動きを止めたメイド達が死体を見つめるが、直ぐに興味をなくし片付けを開始する。


「アタクシ変わらないものが大好き大好きなのよぉ、分かるでしょ?」

「存じております」

「変わらない変わらない目をしてたわぁ、先代魔王様との一騎打ち……うふふ」


 恍惚とした表情を浮かべるアトゥスを一瞥(いちべつ)し、メイドが再び作業に戻る。

 不変と美。

それらに異常なまでの執着を見せるアトゥスは、なによりも魂の美しさを好んでいた。


「分離した魂は選別してしてちょうだいね、魔王様に送らなくちゃ」

「かしこまりました」

「残りは言魂の研究に使うから丁重に丁重にね」

「かしこまりました」


 また、あの目に会える……近い内に。 


そう遠く無い未来に、美しい魂を手に入れ、解析し眺める事ができるのだ。


 歓喜に体を震わせたアトゥスは、横たわるメイドの体を踏みながら自室へと向かう。


「アタクシの美しい美しい劇で、引き立ててあげるわぁジコン殿ぉ」

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