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シンとレンの十二の冒険  作者: くらいね
第三章 危獣編
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198話 フィオラント到着

「人数も増えてここも中々狭くなってきたのではないか?」


 ウォーマットは会議室に集まっていたみんなを見て言う。


「全部で十人いるからな」


「うるさいのも多いしね」


「なんだ悪口か?」


「事実よ」


「んん。あーみんなに集まってもらってのは他でもない。これからの戦いについて話しておきたいからだ」


「黒狼ゼルクだったな」


「ああ。改めて今黒狼ゼルクの分かっている能力を共有しておく。と言っても分かっているのは消えない黒い炎を使うということだけだ」


「フロリアのやつももっと教えてくれたっていいのにな?」


「フロリアも色々あるんだろう。が、そこでだ。頭のいい俺はウォーマットに何か分からないか情報を探してもらっていた」


「へぇーやるじゃん」


「フフン」


「あなたは何もしてないけどね?」


「……」


「まあ、そういうことだ。ワシはフロリアが言っていたという黒狼ゼルクについて調べた。その結果を話す」


「頼んだぜ」


「黒狼ゼルクがフィオラントに居るのは分かっていたのでなワシの神器を使って調べた。見た目は黒い毛の狼。大きさは狼の三から四倍ぐらいかの」

「能力は消えない炎ということだったが、どうやらやつは体と口から黒い炎を出せるようだ」


「口からは何となく想像できるけど体っていうのはどういう感じなんだ?」


「うむ。詳しくは分からなかったが全身を覆う黒い毛から溢れ出すような感じかのう」


「変わったわんちゃんだね」


「犬と狼は少し違うんじゃない?」


「とまあ、ウォーマット話を聞くには消えない炎を操るらしい」


「消えない炎か…触れたらそれだけで致命傷だな」


「水とかで消せないのか?」


「消えない炎らしいからな。多分無理だろう」


「不安だな…大丈夫かな」


「フッフッフ。安心してくれ。俺様にいい考えがある!」


「本当に大丈夫なの?」


 自信満々のゴウキに怪訝なレン。


(水でも消えない炎か。だとすると、砂とかも意味ないだろうな。でも、ゴウキは何か策があるみたいだな……もしかして、前にダンジョンで使ってた変な壺の神器か? アレなら自分が触れなくても消えない炎を吸い取れるんじゃないか?)


「任せろ。実は俺にはな…」


「吸い込む壺の神器だな?」


 シンがゴウキを遮って言う。

 すると、ゴウキは豆鉄砲を喰らった鳩のように目を点にさせた。


「ええ…」


「あっ!」


(しまった。この世界線ではまだ知らないんだった)


「よく知ってるじゃねえか…そうだ。俺には消えない炎でも吸い込める神器がある。それを使えば後は大きい狼ってことよ」


「能力をほぼほぼ無効化できるというわけか」


「なんかいけそうな気がしてきたな!」


「心強いですね」


「そんな簡単にいくとは思えないけど、でも、対策があるのはいいことだよね」


「そうだね」


「うん」


「と、いうことで後は実際に戦ってみないとなんとも言えないわけだが。とにかく消えない炎に関しては大丈夫だ。安心して戦ってくれ」


「おっしゃー! 腕の見せ所だぜ!」


「張り切り過ぎて空回りしないでね?」


「するわけねえだろ?」


「ねえわけないでしょ?」


「大丈夫だ。何かあればみんなで助ければいい。俺達は仲間だ。危険な時は助け合える」


「そうだな。俺達は仲間だ」


「うん」


「ああ」


「だな」


 シンはこの時、全員が一つになった感じがした。

 みんなとなら困難も乗り越えられると、そう思った。


(危獣……前の世界線では戦うことはなかったけど…でも、俺達なら大丈夫だ。誰が相手でも)


 シンは改めて世界を救うために頑張ろうと心に決めたのだった。




 リネオスを出発してから四日が経った。

 シン達は今、フィオラント上空まで来ていた。


「やっとだな」


「ああ」


「シエスタ。この下がどうなっているのか、分かるか?」


 シンが聞く。


「フィオラントの様子は上から見る限りは至って普通という印象を受けますね。危獣がいるようには思えません。もしかしたら危獣はまだ街には到着していないのかもしれません。周りを上から探すこともできますがどうしますか?」


「……どうする?」


「そうだな…見える限りに危獣がいないのは朗報だが、だったら降りて聞いた方がいいかもしれない。もしかしたら何か目撃情報があるかもしれないからな」


「目撃情報か…」


「それに戦うなら地上だ。先に降りていた方がいいだろう。降りてからすぐに戦うのは体勢的にもあまりやりたくない」


「なら、今のうちに降りるか」


「そうだな。じゃあ、行くか」


「ああ」


「じゃあ、決まりだ。みんな準備をして転移の塔で集合だ」


「「「分かった」」」




 それから一度解散したシン達は準備を済ませて転移の塔へと集まった。


「それでは皆様、気を付けていってらっしゃいませ」


「ああ」


「ワシの分まで頼むぞ」


「うん」


「皆様の無事を心より祈っております」


「じゃあ、行ってくる」


「はい」


 シン達は転移した。


 地上へと転移したシン達は早速フィオラントの街で黒浪ゼルクに関係しそうな情報を集めた。


「何か情報は集まったか?」


「いやダメだ」


「私もダメ」


「私も」


「サレサも」


「俺もだ」


「私もです」


「そうか」


 と、その時、


「おお〜お前ら。集まってるな」


 そこには肉の串焼きを手にしているゴウキがいた。


「ねえ、それ何?」


「ん? これか? これは肉だ。美味いぞ」


「そうじゃなくて。どうして肉を食べてるのかって聞いてるの」


「そうだな。まず、全部食わせろ」


 そう言うとゴウキは余っていた肉を一気に頬張った。


「これで腹ごしらえ終了っと。なんでかって? それはな、ウォーマットがゼルクの情報を手に入れたれない時点でこの街には恐らく情報はないだろうと思ってたからだ」


「どういうこと?」


「つまりだな。どうして俺がここに来たかというとここの警備兵達に危獣が迫っていることを伝える為だったんだよ」


「それは確かに大事かもしれないけど」


「どうして肉なんて食ってたんだ?」


「はあ? だから言ったろ? 腹ごしらえだ!」


 ゴウキはそう言うとリュックから神器を次々と取り出す。


「っ……何か来る」


 サレサはそう言うと魔物の姿へと変身した。


「ほら、お前らも準備しろよ。とんでもない速さで近付いてるぞ」


「なんだと」


「どこから来てるんだ?」


 シンの質問にゴウキは少し間を開けて考えると次の瞬間、


「飛んできやがった!!!」


「「「?!」」」


 ゴウキが上を向いて神器を構えたことで釣られるようにみんなも上を向く。

 すると、そこには太陽を背に大きな影が迫って来ていた。

 そして、次の瞬間、ゴウキの神器とその影が衝突した衝撃が周囲に走った。

見てくれてありがとうございます。

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