表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンとレンの十二の冒険  作者: くらいね
第三章 危獣編
193/195

193話 危獣シャレイペル・スネーク(後編)

「やっとやる気になりやがったか」


「これでやっと戦えるな……ん? どうやってこいつと戦うんだ?」


「このお馬鹿は…シンを全員でサポートしてあの神器の力で倒すのよ」


「なんだと?!」


「クア〜…」


「もしかして、サレサも理解してなかった?」


「俺の出番は……ガクッ…」


「おい、いつまでやってんだ。集中しろよ! ここから忙しくなるぞ」


 と、今まで動かなかったシャレイペルが自ら動き始めた。

 とぐろを巻いていた体を使って素早くシンから離れるように動きつつレン達の背後へ移動する。


「賢いな」


 シンはそれに合わせるようにシャレイペルの後を追う。


「要は俺達は動きを止めれば言い訳だから何も戦う必要はない。足止めが最優先だ」


「足止めか。それなら得意だぜ!」


 そう言うとグラートは地面へ戦斧を突き刺す。

 すると、それから地面へと氷が伝っていきシャレイペルの動きを止める。


「ありがたい!」


 シンはこのチャンスを逃すまいと一気に駆け寄る。

 そして、また手を氷の上からシャレイペルの体に触れる。

 すると、シャレイペルは身動きがとれる顔の部分を精一杯動かし暴れる。


「効いてるな。やっぱりシンの神器は効果があるみたいだ」


「俺の神器も中々やるだろう!」


「はいはいそうだね〜」


「私はやることないかも」


「俺も無理に攻撃すれば氷が割れる可能性がある」


「クア?」


「サレサも多分攻撃しない方がいいかな」


 と、その時、暴れた甲斐があってかグラートの作った氷が割れるとシャレイペルはシンに向かって噛み付く。


「危ねぇ!?」


 シンはシャレイペルの頭に手を付いて上手く躱すと、体にしがみ付いた。


「やるじゃねぇか」


「こいつ…暴れ過ぎだろ…」


 シンにしがみ付かれたシャレイペルはシンを引き剥がそうと右へ左へ首を左右に振る。


「今なら俺達が攻撃しても大丈夫だろう。シャレイペルの動きを止めるぞ!」


「クア」


「うん」


 エルフィンの掛け声でみんなが一斉にシャレイペルへ駆け寄る。

 グラートは氷で動きを止め、ゴウキ、エルフィン、レイオーネは剣を突き刺すことで動きを止める。

 サレサとレンはシンの援護をする為シャレイペルの体を伝い、シャレイペルの頭を狙う。


「レン! サレサ! 気を付けろよ!」


「分かってる!」


「クア!」


「おらあ! 俺様の力を思い知れ!」


「体が太くて地面まで上手く貫通しないな…」


「それに私の力じゃ抑えきれない」


 剣でシャレイペルの体を貫通させ、地面へ突き刺して動きを止めようとしたがゴウキもレイオーネもエルフィンも上手くいかない。


「神器を変えるか」


 そう言ってゴウキが神器を変えようとしたその時、


「はああああ!」


 レンが暴れるシャレイペルの頭へ強烈な蹴りの一撃をヒットさせる。


「おわあ!?」


 何とかその衝撃を耐えたシン。


「ググググ」


 木が擦れた音を鳴らすシャレイペル。


「っ?! こいつ小さくなってないか?!」


「何!?」


「っ…」


 シンに言われて皆が確認すると確かに最初にこの部屋へやってきた時よりは小さくなっていた。


「効いてるってことなのか?」


「あの反応から見てもそう考えるのが自然だ」


「じゃあもう少しで倒せるな!」


 グラートがそう言った瞬間、


「グゴゴゴゴゴ!」


 今までにない低い音と共にシャレイペルは小刻みに震え出した。


「何かするつもりか!」


「みんな一旦離れろ!」


 エルフィンの掛け声で一斉にシャレイペルから離れるシン達。


(何をする気だ…)


 と、次の瞬間、シャレイペルの体からシャレイペルの顔が生えてきた。

 それも一つや二つではなく、幾つも無数に枝分かれしていくように増えていく。


「こいつ増えるのか!?」


「マジか?!」


「厄介だな…」


 その時、顔の数だけシャレイペル・スネークの分身が出来上がった。


「こんなのどうすればいいんだ…」


「分かんないよ…」


「クア…」


 無数に増えたシャレイペルを見て困惑するシン達。


「分裂した本体のシャレイペル・スネークなら分かってるけど、そいつを狙う?」


 レイオーネはいつも通り冷静に聞く。


「そう簡単に狙わせてくれないだろう。それに元のやつが本体とは限らない……まずはシンの神器が分身にも効くのか確認するべきだ」


「…分かった」


「私が援護するね」


「クア!」


「二人共ありがとう」


「俺達はシンの邪魔をさせないように周りのシャレイペルを足止めすればいいんだな?」


「グラートなのに分かってるじゃねぇか」


「おい?!」


「ほら来るぞ」


「撹乱なら私にもできる」


 と、レイオーネがシャレイペルの群れ突っ込んでいく。

 すると、四方をシャレイペルの分身が囲む。


「体が軽いから躱すのは得意」


 シャレイペルの分身はレイオーネへ噛み付くがレイオーネは華麗にその攻撃を躱す。


「やるなあ」


 飛んだり、スレスレで避けたり、たまに剣で攻撃を逸らしたりする様子はまるで宙を舞う踊り子のようだった。


「感心してる場合か!」


「おお、そうだったな」


「オラアアア!」


 エルフィン、ゴウキ、グラートがシャレイペルの分身を次々薙ぎ倒していく。


「分身だからか体が少し小さいのが幸いだな」


「シン!」


「ああ!」


 シンへ噛み付くシャレイペルの分身の攻撃を躱すと同時に右手で体に触れる。

 と、シャレイペルの分身が苦しむように暴れ出す。


「効いてるな。効果はあるみたいだ!」


「そうか! となるとどうしたもんか…こいつらを全員相手してる暇はない。倒せると分かったのはいいが…」


「やはり本体を倒すべきかもな」


「ああ…だがこの数の分身を相手して本体にある程度の時間触れ続けないとダメだからな…面倒だぜ」


「でもやるしかねぇだろ!」


「そうだな。シン! ここはお前頼みだ! 気張れよ!」


「ああ!」


 シンは襲ってくるシャレイペルの攻撃を躱しながら少しづつ自分の中でオリフレットシーフがどれぐらい効果があるかを確かめる。


(触れてる感じ効果があるのは間違いない。後はこの分身を一匹倒すのにどれぐらい時間が掛かるかだな。一度試さないとな)


「レン! サレサ! 一匹に集中したいから援護頼む!」


「分かったよ!」


「クア!」


 それからシンは一匹のシャレイペルを狙ってずっと手を触れる。

 すると、見る見るうちにシャレイペルの分身はその木でできた体を細くしていき、緑と茶を合わせた色から茶一色へ変化していく。

 その様子は元気だった青葉が養分を吸い取られて枯れていくみたいだ。


(体が植物でできているから枯れていくのか。どうやら無限に再生する訳ではないみたいだな。それが分かっただけでも大きな情報だ)


「よし、もう大丈夫だ! 後は本体にある程度の時間触れられれば神器の能力でどうにかできる!」


「分かった! ならここらで少し無茶をするか…これも特訓だ」


 と、ゴウキの周りに拳が一つ、また一つと現れる。


「今は六個ぐらいにしとくか」


 ゴウキはゴウキの持っていたポケットから神器を一つづつ取り出す。


「暴れるぜ!」


「全部神器か!? すげぇーな!」


「流石神器馬鹿なだけはあるな」


「罵倒も聞こえた気がするが、それはこの際置いておいて…」


 ゴウキの周りには槍が一つ、ハルバードと戦斧が一つづつ、大剣が一つに、鎌と刀が一つで合計六つの神器が手に握られている。


「ここからは全力でシンを援護するぜ」


「おお、ありがとよ!」


「俺達が何とか分身の動きを止めるからシンは本体を何とかしてくれ!」


「分かった!」


 シンはシャレイペルの本体目掛けて駆け出す。

 すると、それを阻止するように分身がシンの行く手を阻む。

 が、


「任せて!」


「クア!」


 レンとサレサがそれを食い止める。


「お前ら纏めて凍れ!」


「後はお願い」


 グラートとレイオーネがシャレイペルへの道を作る。


(みんなのお陰で後は本体をどうにかするだけだ)


「行くぞ!」


「グゴゴゴゴゴ」


 シンがシャレイペルへ触れようとするとまた分身の顔が現れる。


「どれだけ分身できるんだ」


 分身はシンへ噛み付く。


「はっ」


 その攻撃を躱すと分身の体を伝って本体へと近付く。


「ちょっとの間じゃれ合おうぜ」


 シンが本体へ飛び付くとシャレイペルは暴れる。

 すると、それと同時にシン目掛けて分身が集まり始める。


「そうはさせるかよ!」


 それをゴウキ達が防ぐ。


(段々体が細くなってきてるな。効いてるみたいだ)


 と、その時、再びシャレイペルの分身が体から生え、シンを襲う。

 しかし、


「やっ!」


 レンが蹴り飛ばしてそれを阻止する。


「助かった。このまま…」


 シャレイペルの体がどんどん縮んでいく。


「クア!」


「任せて」


「大分数が減ったんじゃねぇか?」


「ああ」


「後はシンが本体をどうにかしてくれれば…」


 と、その時だった。

 シンが異変に気が付いた。

 シャレイペルが体を小刻みに震え出したのだ。


「なんだ…」


 次の瞬間、シャレイペルは幾つもの小さな蛇へと分裂した。


「どれが本体だ…」


 そう思ったのも束の間。


「痛ってぇ?!?!」


 シンの全身に激痛が走る。


(何にやられてる…)


 シンが痛む部分に視線を向けるとそこには小さな蛇が噛み付いており、その部分から蔦が皮膚を突き刺すように生えていた。


「アレやべぇだろ!?」


「シン! 一旦離れろ!」


 シンは噛み付いているシャレイペルの小さな分身を手を使って払う。

 すると、その一瞬だけで分身は枯れて動かなくなる。


(このぐらいの大きさなら一瞬で生命力を吸い切れるのか)


 シンは一旦シャレイペルから距離をとる。


「!?」


 今度はシャレイペルの分身がこの場所唯一生えていた木へと集まっていく。

 すると、どんどん木と一体化していく。


(分身と合体。それと膨大な生命力。これがこいつの能力か…)


「これで元通りか…」


「そんなのありかよ?!」


「ここで良かったな…木のあるところならこいつを殺すのは無理だった」


「またやり直すだけだ!」


 そこから再びシンとシャレイペルとの戦いが続いた。

 シャレイペルの能力は自身の分身を作り、それを自由自在に操れること。

 噛まれるとその部分から血を吸うことで蔦を成長させ、それによって皮膚を突き刺すことができ、相手の動きを鈍らせることができる。

 この分身は本体に戻ることで元の本体一匹に合体することができる。

 また、何かしらの理由で分身がやられても木を吸収することで回復することができるということまで分かった。


「はぁ…はぁ…やっと大人しくなったか……」


 数時間戦った結果、シャレイペル・スネークの体は最初に会った時から十分の一程の大きさにまで縮んでいた。


「いや〜長かったな」


「ああ。シンはよく頑張った」


「そうだな」


「それでこの動かなくなったこの子はどうするの?」


 シンの手を触れられてぐったりとしているシャレイペル。


「多分だけどこいつは操られてるだけだと思う。前にあった時はこんなに攻撃的じゃなかった」


「そうだね」


「だから、今回の件が終わるまでフィニットブックの中で封印しようと思う」


「なるほどね。それはいいかも」


「また暴れ出さないといいけど…」


「余計なこと言わないの。もう…」


「まあ、ここで殺すのもな。少し痛い目にあってもらおう」


「じゃあ、それで頼むぜ」


「ああ」




 それからシン達は動かなくなったシャレイペル・スネークを動かしてフィニットブックの中へと封じ込めた。


「ふう〜何とかなって良かった〜」


 グラートがそういいながらその場に座り込む。


「ああ。それにここで良かったな。外の木があるところならアイツは無限に再生できそうだったし」


「あの生命力は異常だ。木を自分の体の一部にする速さも普通じゃ考えられない」


「危獣の中でも一番大人しいってフロリアは言ってたけど…これから先大丈夫かな…」


「何とかするしかないだろ?」


「ああ、そうだな」


「今は少しでも情報が欲しい。このダンジョンでフロリアから聞くべき」


「そうだな」


「んじゃ行くか。出入り口を塞いでたあの木も無くなったみたいだしな」


「どうやらアレはシャレイペルの能力だったみたいだな」


「やっと先に進めるぜ。ここも何時間もいて飽きてたとこだ」


「じゃあ行こう。ここに危獣が居たってことは多分、裏切りの者の神は俺達の行動をある程度推測できるみたいだしな」


 それからシン達はシャレイペルと戦ったこの部屋から出ることにした。

見てくれてありがとうございます。

気軽に感想や評価、ブックマーク等をして下さい。嬉しいので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ