187話 エルフィンとの旅
王の間から出てとある広い部屋へと移動してきたシン達。
「ゴウキはどうするんだ? 一緒に来るのか? それともグレイシアで降りるのか?」
「俺も行く。うちの領地だろうからな」
「そうか」
「図らずもお前の策略通りになったな、ゴウキ」
エルフィンが言う。
「策略?」
「ああ。さっき言ってた俺の代わりってのはエルフィンのことだ」
「そういうことね」
「俺の代わりをできるのはこいつぐらいしか居ないだろう? な?」
「な? じゃないだろう全く…と、それよりも今回の件についてウォーマット殿から話を聞きたいと思っていたんだが何処に?」
「それなら図書室だろう。最近はあそこに居るからな」
と、その時、
「ワシに何かようかの?」
そう言って最年長であるウォーマットが部屋へ入ってきた。
「丁度いいところに。実はグレイシアの東側の一部地域が石化したという知らせを受けまして。石化について何か知らないかと思いまして」
「石化か。ワシが知っている限りでは一つだけ石化という単語が出てくる絵本を知っておるぐらいだな」
「おいおい。絵本て…だったら俺でも聞いたことあるぜ? 魔女に石化されるだの、化け物の目を見たら石化されるだの…」
「私も絵本でいいならそうかも」
「要は分からないってことだろう?」
「まあな。だが、ワシは調べることができる。その石化がどうして起こったのか少し探ってみるので少し待ってくれ」
そう言うとウォーマットが下を向いて黙ってしまった。
「便利な能力だね。なんでも分かるの?」
「いや、ウォーマット曰くダンジョンや神器とかはあまり調べられないらしい」
「十分だけどな」
「情報は武器になるからね」
と、そんな会話をしていると調べ終わったのかウォーマットが目を開ける。
「どうだったの?」
「ん〜〜また面倒なことになりそうじゃ」
「面倒なこと? 何か分かったのですか?」
「うむ。分かったことは石化された地域はかなり広そうだ。虱潰しにその地域を探してたらかなり時間が掛かる。そこでもう少し詳しく調べた。誰がやったかだ」
「犯人が分かったのか?」
「いや、分からないということが分かった」
「それはどういう?」
「またボヤけてしまった。だが、ボヤけるということは何かあるのは間違いない。神器か、それこそアークやエドワードの感知を妨害する何かによる影響」
「一筋縄じゃいかないってことか」
「ああ。場所は分かったが犯人までは分からんかった」
「そうですか…」
「詳しい場所が分かっただけでもいいとしようじゃねえか」
「そうだな」
「まあ、待て。ワシに考えがある」
「考えですか?」
「ああ。石化について詳しく調べたいと思ってな。ワシに宛がある」
「石化? 持ってる神器で調べればいいだろ?」
「バカもんが! 調べられたら苦労せんわ! この神器にも限界はある。特に今回の石化の件に関して言うなら不自然な程調べることができない」
「そんで?」
「この神器で調べられないのであれば別の方法で情報を集めればいい」
「別の方法?」
「それってなに?」
「本だ。本であれば過去に書かれた石化に関する情報を集めることもできる」
「そんな便利な神器があるのに本を探すのか? 面倒だな…俺は本なんて読めないぞ?」
「グラートっておバカだね」
「誰が馬鹿だ!」
「そういえば馬鹿は怒りやすいって聞いたことある」
「こいつら……」
「まあまあ。それで本なら石化について何か分かりそうなんですか?」
「それはなんともな。だが、何者かが今回の石化について調べることを妨害している。逆に考えれば何処かに情報があるからこそ妨害しているともとれる」
「確かに」
「その可能性はありますね」
「本……でも、どうするんだ? 本なんてこの世界の何処にでも…」
「ハハハ。聞いたことぐらいあるじゃろう。この世界で一番大きな大木、世界樹を利用して作られた街、ユグラシアなら世界中の書物がある大図書館がある」
「ユグラシア?」
(聞いたことないな)
「聞いたことないな…」
「なんでよ…結構有名よ…?」
「何処なの? 遠い?」
「ユグラシアはここからずっと東……というか殆ど真反対にあるから一番遠い? かも」
「ユグラシアか…グレイシアからは遠退くな…」
「だが今は情報が欲しい。ユグラシア。俺は行くべきだと思う」
(そこで何か情報が手に入ればいいけどな)
「ふむ、石化なんて得体が知れないし、俺はそれでいいと思うぜ」
「私もそう思う」
「ふ〜ん。レンお姉ちゃんは?」
「私も賛成かな。石化した場所に行く方が分かることが多いかもしれないけどその分危ない訳だしね」
「シンはどう思う?」
「俺か? そうだな。俺もユグラシア? そこで情報を集めてからでいいと思う」
「それじゃあ決まりだな。俺、本読めねぇけど…」
「では次の目的地はユグラシアということで」
「ユグラシア…うん。その行き先、気に入ったぜ! 俺も行くことにする」
「修行の方はいいのか?」
「修行? フッフッフ。俺に考えがある」
「考え?」
「おい、まさかユグラシアの近くの…」
「さあ! 行こう! ユグラシアが俺を待ってる! 出発は明日の昼だ! それまでに俺はやることやるぜ!」
「あっ! おい!」
ゴウキが走って部屋から出て行った。
「全く勝手なやつだ…俺も石化について少し調べてみる。明日の昼、城の入口に集合だ」
「分かった」
それからエルフィンも部屋を出て行った。
「さて、これからまた忙しくなりそうじゃ」
「明日か…ねぇ、レイオーネ。明日まで時間があるし、今度は街に行かない?」
「えっ? 街へ?」
「そう! 実はね、この街には大きな噴水があるんだよ」
「噴水? へえ…」
「ねえねえ、行こうよ〜お願い〜」
「あ〜…」
レイオーネは困り顔でレンやシンへ目線を送る。
「お願い〜」
ぴょんぴょんとその場で跳ねながらお願いするサレサ。
と、そんなサレサの様子を見兼ねたレンが、
「レイオーネが困ってるわよ?」
そう助け舟を出す。
「ええ〜レイオーネは嫌?」
「嫌じゃないの! ただ、あんまり勝手に動くのは良くないんじゃないかと思って」
「んん〜」
「確かに良くは無いかもだけど…じゃあ、私達も付いて行く、それならいいんじゃない? 一応監視ってことで。シンは何か予定ある?」
「いや、大丈夫だ」
「じゃあ今日はみんなで街を回ろうか」
「やった〜!!! レイオーネ、一緒に行こう!」
「ああ…ちょっと…」
それからシン達はリネオスを散歩した。
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