182話 シン&レンVSニール
時は少し戻り、
「改めて、久しぶりだな」
シンと相対したニールが言う。
「ああ。久しぶり…だな」
(レンが刺されなかっただけでも未来を大きく変えられた。今はそのことを良しと思おう。これからは俺もどうなるか全く分からない。失敗は絶対に出来ない)
短剣を握る拳が自然と強くなる。
「お前とこういう形で会うことになるとは思わなかった」
「俺も。あの日まではこうなるなんて思いもしなかった」
「シン。お前も俺の糧となれ」
そう言うとニールは剣を構える。
(剣はあの剣のままか。確か俺が見た白黒の世界の中では殺すことを前提に造られた魔具って話だったが、どうしてそんなものが造られたのか。気になりはするが、今はそれよりもあれの能力だ。確かアレは今まで集めた寿命を使って傷を無かったことにする魔具。それが変わっていないんだとすれば、能力を使わせないか、寿命を全部使わせるしかない。どっちも一筋縄じゃいかないがやるしかない)
ニール同様、シンも短剣を両手に構える。
すると、
「ねぇ、シン。本気で戦うの?」
レンが不安そうな表情で聞く。
シンは少し間を空けると
「ああ。兄さんだからって手加減はできない。そのぐらいで丁度いい実力だ」
「…分かった。二人でお兄さんを止めよう」
「ああ」
「シン、仲良しごっこは止めておけ。自分を滅ぼすぞ」
「ごっこじゃない。レンを始め、七つの罪人を捕まえることを目指す俺の仲間だ」
「ふん。くだらないな!」
そう言うとニールが走り出す。
「来るぞ!」
「うん」
レンはリナザクラを構える。
と、シンは近付いてくるニールへサニアの斬撃で攻撃を仕掛ける。
が、ニールはそれを軽々と躱す。
「こんなものか?」
次の瞬間、ニールの剣とシンの短剣が打つかり火花が散る。
「お前とこうして戦っていると昔によくやった模擬戦を思い出す」
(そうだ。俺が子供の頃は落ちてる木とかで戦いごっことかやってたな。少し大人になってからは本格的な模擬戦になっていった)
「お前は一度も俺に勝ったことなかったろ」
「そうだったか? 覚えてないな。それにそんなことは関係ない。俺には今…」
「はああああ!」
睨み合う二人を他所にレンがニール目掛けて蹴り付ける。
「仲間がいるからな」
「くっ…」
レンの蹴りを腕を使って受け止めたニールは体が大きくふらつく。
その隙を逃さないよう追撃を仕掛けるシン。
ふらついたニールへ一気に踏み込むとサニアを構える。
そして、腹部目掛けてサニアを突き刺す。
「?!」
ニールは後ろに距離をとるように避けるがサニアの剣先には赤い血が少量付いていた。
「掠ったか…」
「ここからは手加減はできないぞ」
「手加減? お前にそんな余裕はあるのか?」
「……そうだな」
次の瞬間、シンはイニルを振り下ろした。
イニルの斬撃は地面を抉りながらニールへ真っ直ぐ向かっていく。
すると、ニールはそれを横に躱して避けようとした。
「!? 追尾するのか!」
躱したと思ったニールは自分を追ってくる斬撃に驚く。
そして、次の瞬間、イニルの斬撃がニールの左腕を吹き飛ばした。
「んぐ…」
ニールが言葉にならない声を漏らす。
と、
「時よ、戻れ」
ニールのその言葉と共に吹き飛ばした筈の左腕が何事も無かったかのように復活した。
「やっぱり無理か…」
「この剣が奪った寿命がある限り何度でもまた復活する。シン、この素晴らしさが分かるか?」
「俺は人の命を奪ってまで使おうとは思わない」
「はぁ…残念だ」
「これがあの魔具の能力…」
初めてニールの魔具の能力を見たレンが戸惑いながら言う。
すると、ニールは剣を両手で構え、そして、シン目掛けて突き刺す。
(アークの所為でこうなっているとはいえ、あの魔具はなんか嫌な感じがする。一刻も早く奪わないと)
「…!」
攻撃を躱すも更に追撃を仕掛けるニール。
それを一つ、二つと躱していくシン。
(埒が明かない)
サニアを使ってニールとの距離をとる。
と、同時にイニルで薙ぎ払い攻撃を仕掛ける。
「面倒な能力だ」
ニールは必要以上に距離をとってイニルの攻撃を躱す。
その時、レンがニールへ蹴り付ける。
「く…」
腕を使って受け止めるも体勢を崩すニール。
「この女…」
「まだまだ!」
更に追撃するレン。
すると、それに嫌気が差したのか剣をレンの蹴りがくる位置に構える。
しかし、
「そうはさせない!」
シンが武器を構えているニールの後ろから攻撃する。
こうすることでどちらかの攻撃は当たるだろうという考えだ。
が、しかし、
「挟み撃ちか…」
ニールは次の瞬間、武器を構えるのを止めてレンの攻撃を素直に受けたのだ。
「?!」
驚くレン。
蹴りを喰らったニールはその勢いのままシンの方へ勢いよく吹き飛ばされる。
そして、シンが構えるサニアへ自ら突き刺さった。
「なんのつもりだ…?」
「刺されたところでなかったことにすればいいだけのこと。そんなことより今は近付くことのほうが重要だ」
「!?」
剣を心臓目掛けて突き刺してくるニールにシンは咄嗟に距離をとろうと後ろへ下がる。
が、少し遅れたことによって肩を掠った。
「上手く避けたか」
「シン!」
「…大丈夫だ」
(危なかった。少しでも遅れたら心臓をやられていた)
「時よ、戻れ」
その言葉でニールの傷が何事もなかったかのように治った。
(あの剣をどうにかしないとダメだな。レンのリナザクラなら吹き飛ばせるだろうが……)
シンは作戦を考えるが、どうしてもレンが刺された時のことが気になりなかなか決断できない。
「どうした? 何か悩んでいるように見えるが?」
「……」
「お前が困っている時はすぐ分かる。ずっと見ていたからな」
「そうかよ…」
(兄さんとはいつも一緒にいたからな…)
と、その時、
「シン!」
レンがシンへ話し掛ける。
「大丈夫だから」
「大丈夫って…」
「大丈夫。私を信じて」
「……」
シンはいきなりのことに困惑する。
が、レンのその言葉にシンは何故か安心した。
「分かった」
「うん」
「何をするつもりか知らないが無駄なことだ」
「行くぞ!」
シンはサニアを振り下ろす。
すると、斬撃がニールの方へ飛んでいく。
「何度同じことをやっても無駄…」
ニールはサニアの斬撃を軽々躱す。
が、そのサニアの斬撃をレンがリナザクラで反射させ、躱した筈のニール目掛けて弾き飛ばした。
「反射させたのか…?!」
次の瞬間、リナザクラによって威力が上がったサニアの斬撃がニールを直撃する。
全身をズタボロに切り裂き、刀を持っていた腕は跡形もなく吹き飛ばされていた。
「くそっ…」
ニールは地面へと転がった剣を残った手で取ろうと伸ばす。
しかし、剣はニールの目の前で蹴り飛ばされた。
「信じられる仲間がいると自分が想像しているよりもずっと力が出るものですよ」
「……」
這いつくばり、レンを見上げるニール。
「レン!」
すると、シンが近付いてくる。
「俺はこれからも集めなければならない…」
「もうそんなことはさせません」
「レン、無事か?!」
「うん」
(思い返してみれば今までサニアの攻撃をリナザクラで跳ね返したことはなかったな)
「さて。後はあなたを拘束するだけです」
「……」
レンを睨み付けるニール。
「これでなんとか…!」
ひと段落ついたシンは周りを見ると、アークが短剣から蛇を操りニールの持っていた剣をとったところだった。
「何のつもりだ!」
アークへ言うシン。
すると、アークは余裕のある笑みを浮かべながら、
「これの剣は回収させてもらうよ。また会うことになるだろうからその時はよろしくね」
「逃げるのか!」
「僕らの被害は甚大だ。今回はこの辺で手を引くよ」
と、アークがそう言うと、
「逃すかよ!」
ゴウキが神器を操りアークへ攻撃を仕掛ける。
「これからまた忙しくなるな」
「そうだね」
エドワードとアークがそんな会話をした瞬間、空から大きな落雷が落ちた。
辺りは青白く光り、一瞬視界が無くなる。
「?! くそ…逃げられたか…」
「……」
そこにエドワードとアークの姿はなかった。
「こうなったら仕方がない。とりあえず今は待機している筈の兵士達にこの場を任せて王城へ急ぐぞ。あいつらが言っていたことが本当なら今、城の方がやばい筈だ」
「……」
シンはアークへ視線を向ける。
「シン、色々思うことはあると思うけど今は急ごう」
「ああ…」
シン達は王城へと急いで向かった。
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投稿遅れました。準備出来次第後三話投稿します。




