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シンとレンの十二の冒険  作者: くらいね
第二章 七つの罪人編
181/207

181話 最強VS最凶

(あの短剣、話にはなかったな)


 ゴウキがアークを観察しながら相手の出方を窺う。


「なんだあの武器…」


「やっぱりお前も知らないのか…」


(だとすると、あいつのとっておきって所か…どうしたもんかね)


「しばらく使ってなかったんだけど、君が相手なら使った方がいいだろう」


「お前の切り札ってことか」


「まあ、そんなとこだね」


 そう言うとアークは短剣を構える。


「レン、気を付けろよ。あれは俺も見たことがない」


「…うん。分かった」


「ニール君。僕がゴウキの相手をするから君は後の二人をよろしくね」


「分かった」


「さ、待たせたね。始めようか」


「……」


 警戒を強めるゴウキ。

 すると、アークの短剣から濃い紫の煙が立ち上り始めた。


(なんだ…)


ゴウキは警戒しつつ様子を見ながら盾を持った手を自分の前に構える。

 と、次の瞬間、紫の煙がだんだんと何かの形になっていく。

 そして、それの正体が分かった。


「蛇……?!」


「ふん。まっ、そんな所かな」


 そう言うとアークは短剣をゴウキへ向かって突き刺す動作をした。

 すると、蛇がゴウキに向かって口を開きながら物凄い速さで迫る。


(こいつ、防げるもんなのか? あの紫の煙といい、蛇といい、毒な可能性もある。ここは盾で様子を見つつ、距離をとるか)


 ゴウキは盾を自分の前方へ構えると自身は後方へ移動し距離をとる。

 すると、蛇はゴウキの構えた盾に向かって噛み付いた。

 その瞬間、鈍い音がする。


(実体はありそうだな。なら…」


 次にゴウキは盾を噛み付いている蛇の首目掛けて斧を振り下ろした。

 しかし、斧が蛇の首に触れる瞬間、蛇は実体を失い、まるで霧のように霧散した。


(攻撃する時は実体化して、される時は消えるって感じか。この感じだと好きな時に実体化できるみたいなところだろうな)


「面倒な能力だ」


「僕のお気に入りなんだ。楽しんでくれ」


 アークがそう言うと霧散した筈の蛇が再び姿を現した。

 そして、蛇はゴウキに狙いを定めて噛み付いた。


「危ねぇ?!」


 空に飛んで蛇の噛み付きを躱すゴウキ。

 それを睨む蛇。


(思ったよりも伸びるし早いな)


「流石にこれぐらいは躱すか」


「まあな」


 と、次にゴウキは斧とハルバードを操り蛇の体に一太刀を入れる。

 しかし、蛇は再び霧散し、そして、直ぐにまた現れた。


(仕組みはよく分からないが実体はある。でも、それはあくまで攻撃する為ってところか…だったら…)


 ゴウキは鎌の神器と大剣の神器でアーク目掛けて攻撃を仕掛ける。


「本人を先に潰すのが一番だろ!」


「やっぱりそうなるよね」


 そう言うとアークは短剣を目の前に立てて構える。

 すると、蛇が一度霧散し、アークの周りに集まった。

 そして、ゴウキの鎌と大剣がアークを攻撃するその時、煙が実体化し蛇が現れアークをとぐろを巻くようにして守った。


「僕のこの神器は攻撃というより防御寄りだからね。本来はこう使った方がいいんだ」


「……」


(隙がないな。どうするか…これ以上長引かせるのは俺的にも戦況的にも好ましくないだろう…)


 ゴウキは宙に浮いていた大剣を地面へ突き刺す。

 と、その時、アークの足元から岩の棘が突き刺す。


「ふん。考えたね」


 アークは躱しながら言う。


「これの弱点は足元と守り切れない炎みたいな攻撃には弱くてね。今の課題点なんだ」


「そうかよ」


 ゴウキは更に追撃を続ける。

 鎌とハルバードの神器をアーク目掛けて振り下ろす。


「たまには僕からも攻撃しようか」


 そう言うとアークは短剣を使いゴウキの攻撃を受け流す。

 そして、ゴウキへと距離を詰める。


(自分から近付いて来るのか)


 警戒しながら出方を窺うゴウキ。


「慎重だね?」


「そりゃあそうだろ」


 次の瞬間、アークの短剣とゴウキの刀がぶつかり火花が散る。


「気になることがあるんだけど、君の周りに浮いているその手。どうして同時に動かさないのかな?」


「……」


「ふむ。恐らく、動かさないんじゃなくて、動かせないんじゃないかい?」


「……」


 ゴウキは無言を貫く。


「本来人間は二本の手を動かす。でも君はそれを何本も動かしているのと同じなわけだ。だから自由に動かせる本数には限りがある。だから無闇に動かさない」


(流石だな。よく観察してやがる)


「沈黙、ということは当たりかな?」


「まあ、そういうことでいいんじゃないか」


「ハハ。そうかい」


 アークはニヤリと笑う。

 すると、次の瞬間、アークの短剣から煙が発生しだす。


(こいつまさかここであの蛇を出す気か!?)


 ゴウキは咄嗟にアークから距離をとろうと後ろに避ける。

 その瞬間、短剣から煙が一瞬にして広がり蛇の形へと変化した。


「これは!?」


 ゴウキが見たその蛇は今まで見たものとは違った。

 蛇は八つの頭に分かれ、それぞれが獲物を狙う鋭い眼光をゴウキへ向けていた。


「僕の見立てだと君は自分の腕も合わせて六つが正確に動かせる数だと踏んでるんだけどどうかな?」


 そう言うと、八つに分かれた蛇が四方八方からゴウキを同時に攻撃した。


(これがコイツの本当の能力って訳か……)


 ゴウキは無数の手を動かし自分を守る。


「間違ってはないが、これぐらいだったらなんてことはねえぜ」


「ふむ。その威勢がどこまで持つか見物だね」


(実際のところ、これを長時間続けるのは無理だ。こっちが先に潰れちまう。相手の攻撃を掻い潜りながら一気にあいつを叩くしかねぇな)


 ゴウキは駆け出し一気に距離を詰める。


「時間を掛けると不利と踏んだかな?」


 そう言いニヤリと笑いゴウキを待ち受けるアーク。

 ゴウキはそんなアークの余裕の表情に少し苛立ちを感じながらも自分を攻撃してくる蛇を躱すことに集中する。


 そして、次の瞬間、ゴウキの刀の間合いに入ったアークは腰を落とし攻撃に備える。


「お前のその余裕の表情を崩してやるよ!」


 そう言いながら刀を振り下ろすゴウキ。

 が、しかし、


「それは無理そうだ」


 反発するようにアークはゴウキの刀の側面を掌で弾き躱した。


「僕の勝ちかな?」


 アークが近付いたゴウキの顔目掛けて手を伸ばす。


「冗談はよせよ」


 その時、ゴウキとアークの間に黄金の剣が地面へ突き刺さった。


「危ないな」


 伸ばした腕を引っ込めざるを得なかったアークは少し残念そうな表情を見せる。

 と、それを見たゴウキはニヤリと笑う。


(流石に連戦だと疲れを感じるな…俺もまだまだってことか)


 お互い何も言わずに相手を睨み付ける。

 そして、二人が同時に動こうとしたその瞬間、


「アーク。ここは一度引くぞ」


 そこにはボロボロの姿をしたエドワードが立っていた。


「……ボロボロじゃないか」


 それを見たアークがそんな言葉を漏らす。


「雷に直撃したからの。二人も巻き込んだんじゃ。十分じゃろ」


「……そうか。それで? ここで引くのかい?」


「そうだ。どうやら皆もやられたみたいでな」


「ふ〜ん。それは残念だ」


「おいおい。まさか逃げようって言うんじゃねぇだろうな?」


 ゴウキは刀をアークへ向ける。


「僕も逃げるつもりはなかったんだけどね。まあ、頃合いかな。あっちももう終わっちゃいそうだし」


 そう言ってアークが視線を向ける方へゴウキも視線を向ける。

 と、そこには膝を付いたニールに短剣を構えるシンの姿が見えた。

見てくれてありがとうございます。

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週1〜3投稿予定。

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