180話 シン&レンVSアーク&ニール
「兄さん…」
「兄さん…?! それじゃあこの人が…」
二人の前に剣を持ったニールが立っていた。
「感動の再会なのに余り嬉しそうじゃないね。やっぱり前に会ってるからなのかな」
(今回はレンがいきなり刺されることは無かった。もしかしたらサーシャが居ないことでこうなったのか…)
「…この人、前にどこかで…」
レンがニールの顔を見て過去のことを思い出そうとする。
と、その時、
「お前らの命をこの剣に捧げる」
そう言ってニールが剣を構える。
「兄さん…」
それに倣うようにシンもサニアとイニルを構える。
「兄弟の感動の戦いという訳だ」
「あなた…」
レンが怒気のこもった声を漏らす。
(レンは接近しないと攻撃出来ない。アークの動きに慣れてないことも考えると俺がアークと戦うべきだろう。兄さんの方はレンに任せた方が…)
シンがそう考えるが過去の出来事がフラッシュバックする。
ニールにレンが刺されたあの瞬間を。
シンの拳に自然と力が入り、鼓動が早く打つ。
(大丈夫だ。あの時は不意打ちだった。けど、今回は違う。レンを信じるんだ)
「レン、俺がアークの相手をするから兄さんの相手を任せていいか?」
「私が…? それはいいけど…」
「アークの動きは俺の方が分かってる。それに俺は近付かなくても攻撃できる手段があるからな」
「……分かった」
「うん…」
と、二人が顔を合わせた時、ニールが走り出した。
すると、シンとレンはお互いに背を預ける。
「ふむ。まあ、妥当な判断か」
そう言うとアークも走り出す。
(来る!)
シンはサニアを迫ってくるアークへ振り下ろす。
斬撃が地面を抉るが、アークはいとも簡単に躱す。
(やっぱり当たらないか…攻撃をするなら相手が俺に触れようと手を伸ばした時か)
シンも走り出しレンから離れる。
(レンとは離れ過ぎず、近過ぎずの距離を保ってレンにアークが行かないようにしないと)
と、その時、ニールがレンへ剣を振り下ろす。
「シンのお兄さんには申し訳ないけど…」
レンはそう言ってリナザクラを構える。
次の瞬間、ニールの剣がリナザクラの扇面に当たる。
「何?!」
ニールの剣は弾かれて大きく体勢を崩す。
そのチャンスを逃すまいと空かさず鳩尾目掛けて蹴りを入れる。
「くっ…?!」
ニールは体を吹き飛ばし遠くへ飛ばされる。
「凄い蹴りだね。痛そうだ」
「お前にも後で喰らわせてやるよ!」
「フフ」
攻防を繰り広げる二人。
シンの攻撃は当たらず、アークの攻撃は躱し、お互いが傷一つ付かない状態が続いていた。
(このまま時間だけが過ぎていくのは避けたいが、無闇に攻めても洗脳されて終わるだけだ。もう一人、援護が来てくれればいいんだが…)
「女のそれは反射する神器みたいだね」
「だったらどうした」
「いや。僕は基本的に攻撃しないからね。あの神器は僕と相性がいいかもと思ってね」
「なんだと? つまり」
「ああ。殺して僕の神器にするのもありかなと…」
そう言うとサニアの斬撃がアークの頬を初めて掠めた。
「躱したつもりだったんだけどね。これは驚いたよ」
「お前がレンを殺すって言うなら、尚更お前は俺がここで」
シンがイニルを振り下ろす。
すると、アークは今までと同じ容量で躱そうとするがそこで異変に気が付いた。
躱した筈の自分に向かって軌道を変えて追尾してきたのだ。
「おっと……」
アークはなんとか躱すものの髪と服が一部斬れる。
「その神器、追尾するのか」
「ああ。サニアでマークしたからな。お前はもう今までのように躱してばかりいられないぜ」
「ふむ。それは困った」
(これでサニアとイニル、同時に攻撃できる。状況はかなりいいと言っていい)
と、シンがそんなことを考えていると、
「じゃあ、ニール君。君の弟の命を奪いたまえ」
「何?!」
「分かった」
今までレンと対峙していたニールはアークの命令によってシンへ標的を変え走り出した。
「! どうしていきなり…」
レンもニールに遅れてその後を追う。
「これで自ずとあの女との距離が近付いた」
「こいつ…!」
シンは咄嗟にサニアとイニルで攻撃を仕掛けるが、それを躱すとアークはレン目掛けて走り出す。
(くそっ!!! こいつの行動が読めない)
シンはもう一度攻撃をしようとするが、
「久しぶりだな」
「兄さん…」
シンの目にニールが立ち塞がる。
「レン! 気を付けろ!」
「人の心配をしている場合か?」
「……」
(やっぱり兄さんとは戦わないといけないのか…)
神器を構えるシン。
すると、
「君を洗脳すれば僕の勝ちだ」
「!」
レンが接近してくるアークを警戒しつつリナザクラを構える。
「その神器は攻撃を仕掛けない限り反応しない筈。僕との相性は最悪じゃないかな」
アークはそう言って手を伸ばす。
レンは頭には触れられないように距離をとる。
そんな二人の様子を心配しながら見るシン。
「どうした? そんなにあの女が気になるか?」
「当たり前だ。その為にここまで来たんだからな」
「フン」
ニールがシンへ攻撃を仕掛ける。
シンはサニアとイニルでその攻撃を受け止める。
「兄さん…悪いが手加減はできない。俺はレンの為なら兄さんだろうと容赦しない」
「甘いな」
お互い武器を押し合いながら睨み合う二人。
と、
「だんだん余裕がなくなってきたんじゃないかい?」
「……!」
アークの攻撃を捌きながら反撃をしているレンだったが、押されているようだった。
と、次の瞬間、アークがレンの腕へ蹴りを入れた。
リナザクラを避ける為に威力はそこまで強くはないが、その攻撃はレンの体勢を崩した。
そのチャンスを逃さず、アークは追撃を仕掛けてレンの鳩尾へ拳を入れる。
「ぐっ…!?」
レンはその場にしゃがみ込む。
「これで終わりだ」
アークはニヤリと笑い、しゃがんでいるレンの頭へ手を伸ばす。
「レン!!!」
その様子を見ていたシンが叫ぶ。
と、その時、アークとレンの間に戦斧が突き刺さった。
「危ないところだったな!」
「?!」
シンはその声がした方へ視線を向ける。
すると、そこには周囲にいくつも神器を構えたゴウキがいた。
「英雄の参上だ」
「君が噂になっているゴウキ…」
「お前が七つの罪人のリーダーだな。俺が来たからにはもう安心しろ。こいつの相手は俺がする」
「ゴウキ…」
(助かった…)
シンが安堵のため息を漏らす。
と、
「君の噂は聞いているよ。世界最強の男って呼ばれるんだろ?」
「ん? まあ、俺はそう呼んでくれと頼んだわけじゃないんだが、なんか自然とそう呼ばれるようになった」
「フフ。そうか。僕も似たようなものさ。気が付いたら世界中で命を狙われる大犯罪者さ」
「それは今までのお前の行動が原因だろ?」
「まあ、それはそうなんだけどね。でも、僕はただ世界を少しでも良くしようとしているだけさ」
「どうだかな」
「ふん。おしゃべりはこの辺にしよう」
「いいぜ。俺も早くお前らを制圧して王城の方へ向かいたいからな」
その時、アークが後ろの腰へ手を伸ばす。
すると、漆黒の短剣を取り出した。
「ん? 情報にはあんなのなかったな」
「なんだあれ」
初めて見るアークの武器に困惑するシン達。
「世界最強と呼ばれる男との戦い。楽しませてもらうよ」
アークがそう言うと短剣を構えた。
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週1〜3投稿予定。
投稿する順番を間違えました。これが180話です。




