仲間
発表があった日の帰り道、話題は当然今回のテストのことだった。
「さすがユーリだよな。あんなに僕が邪魔したのにほぼ満点じゃないか。
ユーリのおかげで、僕の成績も上がったし、ありがとう。」
「ありがとう。だけど、アートの成績が上がったのは、アートの努力の成果だよ。
いくら教えたところで、本人が努力しないとどうしようもないんだから。」
「ユーリは優しいよな。エリックもさすがに見直しただろ。」
アートがそういうものの、3人とも、エリックは反論するだろうと思っていた。
だがその予想に反して、エリックの答えは肯定的なものだった。
「ああ、今回のユーリは本当にすごいと思った。
やはりしん・・・」
今まで黙っていたユーリがエリックの言葉を邪魔するように鋭く割り込んだ。
「エリック!」
「あ、やはり、真剣に努力していたおかげだよな。
これからは、もっとユーリのことも信用しようと思う。
完全に警戒を解くことはできないが、それでもこれからはもっと仲良くしても構わないか。」
今まで、さんざんユーリを疑っていたエリックの発言は、これから僕たちがより楽しく過ごせるだろうものだった。だが、さっき言いかけたことは絶対に言いなおしたことと違うような気がした。
「ありがとう、エリック、うれしいよ。
それじゃあ、あらためてよろしく。」
「わだかまりも解けて、いい雰囲気のところで悪いけど、さっき、エリックは何を言おうとした?
どう考えても、最初に言おうとしていたことと違うだろう。」
「そんなことないよ。ユーリが何か勘違いしただけじゃないか。あとでユーリに聞いてみたらいい。」
そう自信を持って言われてしまうと、これ以上エリックに聞くわけにはいかない。どうしようか、そう考えているうちに、もう分かれ道についていた。
「それじゃあ、トキ、ユーリまた明日。
トキもあんまり考え過ぎるなよ。」
そう言い残して二人は去って行き、その場には僕とユーリだけが残された。
どうしよう、ユーリに聞けば答えてくれるだろうか。
ちらりとユーリの方を見ると何か考えているようで、僕が視線を向けたことにも気付く様子はない。
エリックも考え過ぎるなと言っていたし、やはりユーリに聞いてみよう、そう決意して口を開こうとした時、ユーリが唐突に話かけてきた。
「トキ様、私のことが好きですか?」
「えっ・・・」
ユーリは友達のはず。僕にそんな趣味はないはず。
でも本当にそうだろうか・・・
僕が悩んで答えられないでいるうちに、悲しい顔をしたユーリが続けた。
「すみません。やはり使用人のことを友人だなんて思えませんよね。」
「違う。さっきは突然でびっくりしただけで、ユーリは友達だと心から思ってるし、もちろん好きだよ。」
やばい、なんという勘違いをしてしまったんだ。好きか、と問われたら普通同性間なら友情についてに決まっているのに。
「本当ですか?」
さっきの沈黙が不安にさせたようで自信なさ気にユーリが尋ねた。
「もちろんだよ。それより突然どうしたの。」
「トキ様、もし少しでも私のことをそのように思って下さるなら、さっきのことについては何もきかないで下さい。
駄目ですか?」
そう言って潤ませた瞳で見上げられた。
思わずその瞳にドキドキして気付いたら了承の返事をしていた。




