↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第四次世界大戦――剣と盾しか残らなかった世界で  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
96/180

北へ向かう二枚の地図

首府のイナのもとへ、北方から二枚の地図が届いた。一枚はグラウゼンの商路、もう一枚はラウゼとミシュラの峠の戦線だった。両者には同じ山脈が描かれているが、通れる道が一致していない。

商人の地図では雪崩を避けるため谷を大きく迂回する。軍の地図では、最短の尾根道が太い線で示されている。線の太さだけでは、どちらが本当に使えるか分からない。

イナは地図の出所と作られた季節を確かめた。軍の地図は夏のもの、商人の地図は最近のものだった。雪の深さが変われば、近い道が遠くなる。

上官は二枚を重ねて一本の道を描くよう命じた。しかしイナは、地図を合わせることで誤解が増えると説明した。旅人と兵では必要な広さも違い、荷車が通るには別の条件がある。

彼は線を消さず、時期を示す小さな印を付けた。誰かが地図を持ち出したとき、どの道が安全かを自分で確かめられるようにするためだった。

夜、北から旅をしてきた女商人が記録室を訪れた。彼女は地図の一角を指し、そこには小さな集落があると告げた。二枚とも空白にしていた場所だ。

女商人は空白の集落が雪解け水の近くにあると教えた。そこで暮らす者は、北の兵が近づくと放牧の群れを隠すという。イナは地図へ家の数を記さず、水と道の位置だけ残すことにした。公にしない情報が必要な理由を上官へ説明するのは難しい。しかし地図を見た者がただちに徴税隊を送るなら、記録は村の安全を奪う道具にもなる。

イナは集落の名を尋ねた。女商人は、そこの人々がどちらの国の税も払っていないことを先に伝えた。名前を書けば兵が来るのではないかと恐れているのだという。イナは村の位置だけ別紙へ記し、閲覧者を限ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。