春までの刃
橋の守備隊で、兵たちが剣の長さを比べていた。古い刃を研ぎ直すたび少しずつ短くなり、同じ隊列でも届く距離が違う。副官は不揃いを危険だと考え、新しい剣の支給を求めた。
エドランは稽古場を訪ね、兵同士に盾の位置を確かめさせた。最も短い剣を持つ兵は相手へ近づきすぎ、隣の盾を押していた。強さではなく間合いの問題だった。
稽古を担当する老兵は、剣を揃えるより組み合わせを変えようと提案した。長い刃の者を前へ出すと短い刃の者が隠れてしまう。代わりに歩幅と盾の高さを合わせ、無理に相手へ近づかない訓練をした。
若い兵は勝つための稽古に見えないと不満を言った。「剣を振らずに済む距離も覚えろ」と老兵は答えた。
午後、東岸の農夫が修理を待つ鋤を持って来た。鍛冶場が軍の剣に追われ、畑を耕す道具が戻ってこないという。副官は初めて、武器の長さを揃える要求が畑の仕事を遅らせていたことを知った。
エドランは新品の剣を受け取る人数を絞り、残った鉄を農具へ回すよう書状を出した。兵の中には納得しない者もいた。
訓練を見守った年老いた農夫は、短い刃の兵が盾の位置で身を守るのを見て、畑仕事にも似たことがあると言った。鎌を長く振れば隣の苗を傷める。近くの者と呼吸を合わせなければ、作業は進まない。兵たちは最初その例えに笑ったが、翌日の訓練では互いの足元をよく見るようになった。エドランは剣の訓練を農夫へ教えようとはせず、ただ話を聞いた。
夜、稽古場では刃の短い剣が棚へ並んだ。捨てられるはずだったそれらは、翌日から基礎訓練用に使われる。戦場の道具を長く使うことは、兵にとっても畑の者にとっても春まで続く仕事だった。




