鉄を量る女
エルデン領の倉庫で、鉄の配給を任された女官セルマは新しい秤を使い始めた。剣の刃と水門の軸を同じ「鉄一袋」で数えていたため、帳面の数字が合わなくなったからだ。
軍の使者は修理剣を先に寄こせと催促した。水門を直す者は、春の水が止まれば畑が死ぬと訴えた。双方とも必要であり、セルマ一人の好みで決められるものではない。
彼女は領主アルセンへ、材料の種類と使い道を記した新しい台帳を提出した。良い鋼を剣に、柔らかな鉄を水門の金具にという単純な分類では済まない。腐食の度合いによっては、どちらにも使えないものがあった。
アルセンは軍需を優先すべきだと語ったが、翌年の徴税を見込むなら農地も守らなければならないと認めた。決定されたのは、鍛冶場ごとに月の使用予定を出させることだった。
その日の夕方、古い釘を一箱持ってきた男がいた。崩れた家から拾ったものだという。セルマは錆が深い釘を見て、鉄としての価値は低いと告げた。
男は受け取りを拒まれると思ったが、彼女は補修用の短い鋲に使える部分を選んだ。家の跡から拾ったものが何にもならないわけではなかった。
倉に届いた金属には、焼けた大きな鐘の破片も混ざっていた。寺院の者が持ち込み、交換に薪を求めたのだ。セルマは鐘に混ぜられた金属を調べ、剣へ使えば脆くなると説明した。寺院の若者は価値の低さに落胆したが、親方リゼルは水車の小さな部品にできるかもしれないと助言した。祭りを告げた鐘が農地の水を動かす道具に変わることを、若者は黙って受け入れた。
夜、倉の鍵を閉める前に、セルマは帳面の余白へ「誰が不足を負うか」と書いた。鉄を量ることはできても、その不足を人々へ公平に分ける秤はまだなかった。




