潮の知らせ
海峡で船が捕らえられたという知らせが、何度も人の手を替えて大陸へ届いた。ルーヴェの記録係は、最初の紙に書かれた船名と、最後の紙に書かれた名前が違うことに気づいた。途中の港で別の船の事件が混ざったらしい。
町長イベラは不確かな知らせを理由に港を閉じなかった。しかし沿岸から来る魚の値が上がり、漁師が今より遠くへ出なければならないという声は放っておけなかった。
彼女は海峡から来た船頭に、航路のどの区間で検問を受けたか尋ねた。船頭は木片を海岸に並べ、島と港の位置を示した。国名より潮の向きで海を覚えている男だった。
オーデンは堤防の工事を続けながら、その木片の一つが湿原の港を示していることに気づいた。故郷の都市も海峡の税を口実に交易船を止めていたという。
「ここから見えないところで、同じ魚が二度数えられている」イベラは言った。
その日の市場では、海辺の漁師が魚を少量ずつ分け売りした。値段を上げれば買えない家が出るが、下げすぎれば船の修理費が残らない。イベラは価格を命じず、傷んだ魚を捨てる場所と乾燥できる場所を増やした。
記録係は異なる船名を消す代わり、知らせが通った港ごとに紙の色を変えた。どこで内容が足されたか分かるようにするためだ。航海者は自分の話が別の国の宣伝に使われるのを恐れ、詳しい場所を隠す者もいた。イベラは公開できる情報と港の安全に関わる情報を分けるよう命じた。真実を集めることが、すべてを貼り出すことと同じではない。
夕暮れ、船頭が海岸に並べた木片は子どもの遊び道具になっていた。小さな島は何度も場所を替えられた。実際の海では、一つの島を移すことなど誰にもできなかった。




