三日目の橋
三日目の朝、橋の中央は濡れていた。夜の雨で白線はかすれ、東岸の兵士が足を滑らせないよう砂をまいている。エドランはその作業を見届けてから、西岸の伝令を迎えた。
「村々は、二万人全員の受け入れを決められなかった」
ハルヴァンの顔がこわばった。
「橋を閉じるのか」
「そうとも決めていない」
エドランは十九人の村長が署名した紙を渡した。傷病者と子どもを優先すること。食料は村の責任で分けること。兵士は東岸で武装したまま滞在できないこと。どれも十分な条件ではないと、書いた者自身が知っていた。
「家族を残して兵だけ西にいるのか」
「そのために、行き来する日も決めたい」
「通れば双方の兵が混じる」
「だから数を数える」
二人が話していると、避難民の列から小さな荷車が進み出た。老人が引く車には熱を出した子どもが三人、布をかけられて横たわっていた。
「医者に見せてくれんか」
老人はどちらの指揮官にも頭を下げなかった。疲れ切って、そうする力が残っていない様子だった。
エドランは門番に医師を呼ばせた。西岸の兵は盾を脇へ寄せ、車輪が通る幅を開けた。列の後ろには、まだ無数の荷車が待っている。
一人目の子が毛布で包まれたとき、ハルヴァンはようやく息を吐いた。救えた人数を数えれば三人にすぎない。しかし、その三人が今夜眠る場所はできた。
医師の助手は渡ってくる荷車に印を付け、患者の症状と付き添いの人数を記録した。最初は西岸の兵が監視していたが、病人の子を落ち着かせるのに母親が必要だと知ると、人数の数え方を変えた。門の規則は残り、目の前の必要に合わせて運用だけが少し変わった。
午後、西岸司令部には北方の灰色の盾についての報告が届く。三日間の猶予は終わっても、誰も橋から手を離せなくなっていた。




