王の通行税
サルディア王国の港務局に、拿捕船の目録が積まれていた。税務官のエルナはその中から、半年前にも同じ船名が載っていることを見つけた。船はそのとき通行料を払っており、港の印も残っていた。
新しい命令では、過去に払った税は認めない。しかしその変更を知らせる使者は、遠くの島へまだ届いていなかった。
港の長官は、知らなかったことを理由に税を免除すれば王権が揺らぐと話した。エルナは税を取るなとは言わなかった。次の寄港地へ知らせを送らなければ、同じ争いが繰り返されると主張した。
「海を越えるのに日数が要ります。命令が書かれた日から、船が知っていたことにはできません」
長官は王都へ問い合わせた。返答を待つ間、船員たちは港の倉で働かされることになった。船長は抗議したが、海へ戻れば別の巡察船に捕らえられるだけだった。
エルナは労働の日数を帳面に残し、後から賃金に充てるよう提案した。長官は余計な約束をするなと叱った。
港の外では、徴税を成功と聞いた王国の兵が祝っていた。しかし市場では乾燥魚が一週間届かず、値段が上がり始めた。王が手に入れたのは船だった。島々を結んでいた日々の荷まで手にしたわけではない。
港の乾燥魚商は長官へ抗議に来た。倉に眠る拿捕船の荷は市場へ出せず、島からの新しい船も寄り付かない。彼は税を減らせと言っているのではなく、値を払って魚を買う許可がほしいのだという。長官は国庫の持ち物を勝手に売れないと答えた。役所で数字が整うほど、街の人々が食べられる魚が減るという奇妙な状態だった。
人形の箱には届け先の島名だけが記されていた。エルナはその文字を見て、海峡の向こうにも今夜の配達を待つ者がいることを思った。




