峠の通貨
連邦と王領の境にある宿場では、二種類の硬貨が使われていた。片方は青盾の三市で鋳られたもの、もう一方は王領の古い冠を刻んだものだ。店主の男は両方を受け取っていたが、交換比率を突然変えた。
連邦の商人は抗議し、王領の兵は店主を擁護した。新しい貨幣が偽物かもしれないという噂が流れていたからだ。
宿場を訪れたユリウスは、硬貨を秤へ載せた。同じ額のはずの青盾貨の重さがばらばらだった。三市は鉄の不足を補うため鋳型を変えており、その知らせが王領まで届いていなかった。
「価値が違えば、ここで仕事をする職人に何を払えばよい」石工の親方が尋ねた。
宿場の人々は暫定的に、二つの硬貨ではなく穀物と薪の量で賃金の目安を作った。しかし麦の袋の大きさも市によって違う。測る器を揃える仕事が新たに生じた。
店主の妻は木の升に線を刻み、昼までに五つの店へ貸した。帰ってきた升の一つは縁が欠けていた。誰が壊したか分からなかったが、彼女は壊れた場所まで目盛りを彫り直した。
交換の目安を作る会議へ、宿場の給仕も呼ばれた。彼女は一日働いて受け取る硬貨で、小麦をどれほど買えるかを示した。金属の重さばかり比べる議員たちは、食卓へ届く量を見て言葉を失った。升の目盛りを統一する作業には、どちらの国の職人も加わった。完成した木の升は、宿場の共用棚に置かれ、誰でも確かめられるようになった。
夕方、王領からの兵が宿で受け取った賃金を数えていた。硬貨の価値が決まらなければ、故郷へ送る金も決められない。国境の争いは剣の前に、椀や升や賃金の中に入り込んでいた。




