南西の返書
青盾の三市連邦へ、隣の王領から使者が来た。崩落した峠の調査を共同で行うことには同意する。ただし兵士は双方五人まで、修理に使う木材の費用は折半という条件だった。
調停官ユリウスは返書を評議会へ示した。ある議員は罠だと疑い、別の議員は安すぎる取り決めだと歓迎した。ユリウスはどちらにも同調せず、木材をどこで調達するか先に尋ねた。
連邦の森は伐採が進み、良い柱に使える木が少ない。王領の森は豊かだが、そこから運ぶ道こそ崩れている。職人たちは石組みで代用する案を持ち込んだ。
「費用は増えるが、春の増水には強い」
議員たちは数日にわたり計算を続けた。軍の支出を減らすべきだという声もあり、王領に費用を多く負担させようとする者もいた。
ユリウスは使者に、最初の調査だけを無条件で始めたいと伝えた。互いが壊れた場所を見れば、費用の話も具体的になる。
現地に集まったのは、剣士十人と職人六人だった。剣士は崖の上で見張り、職人が石の強さを調べる。相手の旗は目障りでも、崩れた道は同じように見えた。
両国の職人が崩れた石を見つめている間、見張りの兵たちは離れた場所で立っていた。互いの盾の形を比べ、同じ工房で作られたような金具があることに気づいた者もいる。交易が止まる前には、材料だけが国境を越えたのだろう。今は剣を抜けばすぐ争いになる。それでも道が直れば、またその部品を運ぶ商人が現れるかもしれなかった。
調査の最後に、王領の石工が連邦の職人へ工具を貸した。返すとき、二人は工具の刃の欠け方についてだけ話した。使者の会談より先に、その間で仕事の約束が一つできた。




