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第四次世界大戦――剣と盾しか残らなかった世界で  作者: 竜太郎


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折れた街道標

セリアの道路職人が直した街道に、赤環市からの塩商隊が近づいた。関所は開いていたが、途中の標識が折れ、荷車が誤った谷へ入る危険があった。案内を買う金のない商人は、そこで何日も待っていた。

セリアは道に兵を並べる代わりに、正しい分岐へ石柱を立てるよう命じた。軍の紋章を刻めば敵に壊されるかもしれない。職人たちは矢印と距離だけを彫った。

作業中、ナゼルが荷車を引いて来た。彼は赤環市の二つの通行札を見せ、塩を高値にせざるを得ない事情を話した。

「北の人を苦しめたいわけじゃない。次の旅の金がいる」

セリアは彼を責めず、評議員アーネへ会わせる約束をした。

商隊が街へ入ると、子どもたちは車輪の音を聞いて走り寄った。荷の半分は空樽だったが、人々には塩が届いたことそのものが嬉しかった。

市場でアーネはナゼルの帳面を読み、売値の内訳を一つずつ確かめた。税、宿代、関所の修理費、荷車の交換部品。そこには盗人の分け前ではない費用も多かった。

評議会は赤環市へ交渉の使者を出し、連合側の市場手数料も一時的に下げた。売値はすぐには下がらなかったが、次の商隊は空樽を減らせる見込みが立った。

新しい標識の寸法をめぐって、職人たちは少し口論した。背の低い旅人にも読める位置にすべきだという者と、雪に埋もれない高さを優先する者がいた。最後は二つの石を別の高さに据えた。大きいほうには距離、小さいほうには分岐の印を刻んだ。冬には雪の高さを確かめ、必要なら作り直すことにした。

新しい標識の下を、旅人が一人、道を間違えずに通り過ぎた。そのことを見ていたのは標識を彫った職人だけだった。

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