南の青盾
南西の高原で、青い盾を掲げる三市連邦が評議会を開いていた。大河から遠く離れた土地だが、第四次世界大戦の影響は確かに届いている。北の街道が閉じて以来、鉄と乾燥豆の交易が半分になった。
連邦の調停官ユリウスは、隣の王領が峠を封じた理由を調べていた。王領では兵を集めているという噂があり、市の議員たちは先制して峠を奪うべきだと主張した。
「閉じた理由を知る者はいるか」
返事はなかった。使者は途中で戻され、手紙も届かない。
ユリウスは国境に立つ見張りへ、武装しない運び手を一人送りたいと申し入れた。峠の井戸の水が枯れたという旅人の話があったからだ。
数日後、王領から返事が届いた。峠の道は崩落で通れず、軍は通行人を止めているだけだという。だが王領の使者は、連邦が兵を増やしたことも指摘していた。
双方の疑いは消えなかった。そこでユリウスは崩落した道を共同で調べる案を出した。連邦の評議会では相手を信じるなという声が強かったが、道を開かずに冬を迎える怖さも共有されていた。
使者が持ち帰った王領の封書には、井戸を掘り直すための道具が不足しているとも書かれていた。ユリウスは市の鍛冶職人へ修理可能な金具を尋ねた。職人は見本がなければ作れないと言い、代わりに現場へ行く提案をした。軍の疑いを解くより先に、壊れた道具を確かめる旅が始まった。その小さな用件だけは、両国の役人も反対しなかった。
夜、高原の家々には豆を煮る匂いが漂った。家族は国境の話より、次の収穫がいつ売れるかを気にしていた。連邦の議員たちは翌朝、剣士の人数ではなく職人の人数から議論を始めた。




