↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第四次世界大戦――剣と盾しか残らなかった世界で  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/192

十九人の村長

会議が開かれたのは、橋から半日歩いた旧駅舎だった。崩れた屋根を板で覆った広間には十九人の村長が集まり、黒板には村ごとの麦と豆の備蓄が書き並べられていた。

「二万人を入れたら、うちの子どもが食べる分は残るのか」

南の果樹村を預かる老女イーサの問いに、誰もすぐ答えなかった。若い村長は去年の飢えを語った。六人の子どもが春を迎えられず、今年は家々が種麦を別室に隠しているという。

北の村長レオンは革袋を机に置いた。乾いた豆がひと握り入っていた。

「種を煮れば一度は腹が満ちる。来年の畑は空になる」

エドランは議決を迫らなかった。軍なら橋を閉ざすのは簡単だ。しかし伝令が告げた二万の民には、寒さに耐える老人や歩けない子どもが含まれている。

「西岸の畑は、本当に使えないのかね」

イーサは壁に掛かった地図を指した。西岸の水路は古い石造りで、上流の堰が崩れたと噂されていた。

「見ないで麦を渡すか決めるのは、順番が違う」

議論はようやく作業の形になった。村々は石工を出し、軍は安全な道を確かめる。医師には橋へ向かう準備を頼む。一方で倉の封印は解かず、食料の計算をやり直すことにした。

十九人はそれぞれ違う村から来ている。山の村では雪が早く、川の村では湿気で麦が傷む。数字を一つにまとめれば簡単でも、実際に何を節約できるかは村ごとに違った。若い書記は同じ用紙を配るのをやめ、余白のある大きな紙を取り出した。

会議が終わる頃、外では村人が雪囲いの板を打ちつけていた。世界の戦争がどこまで広がろうとも、その音は毎年同じだ。エドランは駅舎を出て、決まらなかったことと、今日決められたことを別々に帳面へ記した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。