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第四次世界大戦――剣と盾しか残らなかった世界で  作者: 竜太郎


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領主の余白

エルデン領主の机に、橋脚の修理費を東西で分担する書状が置かれた。領主は金額を読み、今期の税では払えないと告げた。軍の盾も新調しなければならず、村々には種麦の保護を命じている。

顧問は西岸へ負担を押し付ける案を出した。橋の使用を求めてきたのは西岸だからだ。だが修理が遅れれば東岸の商人も荷を運べず、補給の道が塞がる。領主は負担を避けるより、金の代わりに材木を出す方法を尋ねた。

森を管理する役人は、春先の伐採が鳥の巣を壊すと反対した。職人は、すぐ使える乾いた木を探すなら旧倉の梁を外せると言った。梁を抜けば倉は夏まで使えなくなる。

領主は議論を終える前に、橋へ出向いた。修理箇所を見て初めて、鉄骨を支える木枠の太さを知った。書状に書かれた数字だけでは、必要な木を想像できなかった。

西岸の伝令ハルヴァンは、共同負担を認める返事を待っていた。領主は材木を出すと伝え、代わりに西岸が石工の給金を負担できるか尋ねた。伝令は勝手に答えなかった。

領主が帰る際、橋のたもとで働く小さな靴直しの店を見た。戦が始まってから兵の靴底が薄くなり、職人は休みなく縫い続けている。材木の話をしていた顧問は、橋を支える木だけでなく人の足も消耗すると気づいた。領主は職人に注文を増やさず、傷んだ道を直すための砂利を役所から回した。靴を守ることも補給の一部だった。

帰路、領主は覚書の余白へ「倉の梁は最後に検討」と書き足した。戦費を支えるだけでは国は動かず、橋を守るにも森と倉の未来を削らねばならない。何を使わずに残すかも、領主の仕事になっていた。

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