乗り移る盾
海峡の狭い水道で、島の商船が二隻の巡察船に挟まれた。船頭は風の弱い側へ帆を向けたが、前を塞ぐ船が横付けした。盾を掲げた兵士が鉤の付いた縄を投げ、商船の縁を引き寄せる。船頭は荷物に身を伏せさせた。
最初に乗り込んだ兵は、滑った板の上で膝をついた。島の若者が木の櫂を振り上げると、船頭は止めた。剣を抜いた相手に櫂では勝てない。だが兵の一人が積荷の布を切り裂いた瞬間、若者は掴みかかった。
狭い船上では盾を横に向ける場所も少ない。剣の先が帆柱を削り、縄がちぎれ、商船と巡察船がぶつかって船縁が割れた。島の者一人が腕を切られ、巡察兵も肩を傷めた。
巡察隊長は戦闘を止め、税の徴収を続けると宣言した。船頭は積荷の所有者の名を示し、以前に払った税の控えを出した。しかし印の色が古いと受け入れられなかった。
その間に潮が変わり、三隻は岩礁へ流され始めた。巡察隊長は縄を解くよう命じ、商船も残った櫂を使って岸を離れた。互いの船を押さえつけていれば全員が座礁する。
巡察船の下働きは、船上の戦いで失った水桶を探していた。海へ落ちた桶は船の持ち物とされ、給金から差し引かれる決まりだった。負傷した肩を押さえながら探す姿を見て、隊長は規則の適用を保留した。船を守るため捨てたものと、怠けてなくしたものは違う。隊長は理由を記したが、王都の会計官が認めるかは知らなかった。
後日、島へ戻った船頭は腕を切られた若者の治療費を集めた。税の控えは濡れて読みにくくなっていた。巡察船の兵も一人、同じ晩に傷を縫われていた。両者の記録が一つになる日は来ていなかった。




