↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第四次世界大戦――剣と盾しか残らなかった世界で  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
145/240

海峡の低い灯

ハルノ島の東端では、灯台代わりに油皿を三つ並べていた。昔の高い灯塔は崩れ、石だけが残っている。霧の夜、皿の火は船からほとんど見えない。それでも島民は油を惜しまず灯した。

島長は灯を高くするため木の櫓を頼んだが、船大工は強い風に耐えられないと言った。男たちは石積みを試したものの、材料は波で丸くなった小石ばかりで固まりにくい。灯を目印に近づく船を危険へ招いてはならなかった。

ある夜、南の島から小舟が到着した。船頭は片腕に火傷を負い、積んだ食料の半分を失っていた。サルディアの巡察船に止められ、税を払えず逃げたという。島長は話を聞き、船頭が誰を見たかではなく、どの潮を使って来たか確かめた。

巡察船が追って来れば島も罰せられる。若い漁師たちは舟を隠そうとしたが、島長は負傷者を先に運ばせた。船の存在より、傷が膿む方が早い。

翌朝、灯の場所は少し下げられた。船を誘う灯ではなく、近づきすぎた船へ暗礁を知らせる灯に変える。海上で見える範囲は狭くなったが、島の入り江を知る者には十分だった。

油皿を守る当番の少女は、煙で目が痛くなり、夜の後半を弟へ代わってもらった。弟は眠気で皿を倒しそうになり、母親が急いで土を掛けた。灯を絶やさないには油だけでなく人手がいる。島長は漁に出ない老人たちも当番に含め、若い者が休めるようにした。海を照らす火が家の火事にならぬよう、皿の周りへ石の輪を増やした。

島の漁師は翌朝、皿の油を量り直した。無駄な燃え残りはなかった。

子どもたちは油皿の周りへ貝殻を並べた。三つの小さな火は、王国の船にも島の船にも同じように揺れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。