泥の中の刃
湿原の細い堤で、夜警の兵が倒れていた。胸に傷があり、盾は足元の泥へ沈んでいる。オルネは現場を囲ませたが、夜明けまで誰も通さない命令は出せなかった。村の女たちは堤を越えて家畜の飼葉を運ばねばならない。
傷は剣で付いたように見えた。近くに血の付いた刃が落ちており、隣の都市の印が刻まれていた。若い兵は報復を求めたが、オルネは刃の柄に新しい縄が巻かれていることへ気づいた。印のある剣を誰がいつ手にしたか分からない。
医者は死因を調べ、倒れる前に後頭部を石へ打ち付けた痕を見つけた。兵は先に転び、その後に傷を負ったのかもしれない。堤の脇には格闘の跡があるが、泥に残る足跡は雨で崩れた。
昼頃、隣の都市の行商が名乗り出た。落ちていた剣は数か月前に盗まれた自分のものだという。証明できるのは柄の内側に彫った家族の印だけだった。兵は行商を拘束しようとしたが、オルネは剣を包み、印を記録してから帰らせた。
死んだ兵の弟は、犯人を見つけるまで堤に立つと言った。母親はその手を引き、葬る場所を決める方が先だと告げた。
死んだ兵の水筒には、妻へ送る予定の小石が入っていた。湿原の珍しい白い石で、子が集めていたらしい。オルネはその小石を洗い、名前を書いた袋へ入れた。殺した者を探す仕事と、残った物を返す仕事は並行できる。兵の弟は袋を受け取ったが、すぐには開けなかった。剣の印より、その重みの方が彼には確かだった。
オルネは調査のため巡回を増やした。隣の都市も同じことをした。水路の舟はまだ往来しているのに、堤の両側だけ足音が硬くなっていった。




