二つの船着き場
葦原の火事の後、二つの都市が同じ水路に臨時の船着き場を作った。互いの荷を調べるためだ。船は一度岸へ着き、反対側の岸へ移ってまた積荷を下ろす。米袋が濡れ、薪が水を吸った。
行商の青年が、二つの検査を一度に済ませられないかと提案した。片方の役人は敵の印を信用できないと拒み、もう片方は検査の費用が都市の税収になっていると認めた。水路には小舟の列が延び、病人を乗せた舟まで動けなくなった。
オルネは軍の舟を後回しにして、医者の舟だけ先に通した。兵士の一人は武器を運ぶ船が遅れると怒ったが、武器を持った舟なら検査に時間を掛けても困らない。医者の薬は日差しで傷みやすかった。
午後、商人たちは舟を二隻ずつ結んで共同の検査を受ける試みを始めた。役人は船ごとの印を付けることを条件に認めた。岸にいる人足の仕事は減ったが、荷物の持ち運びは楽になった。
夕暮れ、町へ戻る舟が水面に長い影を落とした。火事の責任は分からず、通行税も残っている。それでも舟が止まる場所を一つ減らせた。
岸の人足は検査が一度になると仕事を失うと恐れた。行商の青年は荷を下ろす代わりに、舟を安全に寄せる案内を頼んだ。水流を知る彼らなら、浅瀬で船を傷つけずに済む。税を減らしても仕事を奪わない方法を探す話は、役人より先に舟の上で始まった。人足の親方は試験の日だけ無償で手伝うと申し出た。
夕方の風向きで、岸へ寄せる順番も変わった。
水辺の子どもは船着き場に新しい木札を立てた。ここでは先に薬と病人を通すと絵で示した札だった。役人は勝手に規則を書くなと叱ったが、札を抜かなかった。




