葦の燃える岸
湿原諸都市の南端で、葦原が燃えた。乾いた茎を伝う火は風に乗り、堤の木柵を黒く焦がした。葦を刈る村の者が水を汲んで走ったが、足元の泥が深く、火の前へ近づけない。
火の向こうには隣の都市の盾兵がいた。こちらの村では、刈り場を奪うために放火したと噂された。隊長のオルネは犯人を決めず、住民が燃え残りを拾うための細い道を確保した。剣を持つ者より、濡れた布を運べる者が必要だった。
夜、風が止んで火が弱まった。焼けた場所から鹿の骨と古い木札が見つかった。木札には別の都市の税印があったが、何年も前のものらしい。村長は証拠だと叫び、オルネはどちらがいつ置いたか調べなければならないと答えた。
煙の中で老人が倒れ、隣町の医者が呼ばれた。医者は境界を越える許可を待たず、小舟で水路を渡った。オルネの部下は盾を持って護衛したが、医者は泥道の途中で兵を引き返させた。狭い所では重い盾が邪魔になる。
翌朝、焼け残った葦を刈り取る者たちが戻った。鳥の巣がいくつも失われ、湿原の小魚が逃げ込む影も少なくなった。春の漁は悪くなるだろう。
焼けた葦を踏んで歩く鳥が一羽いた。羽の先が焦げて飛べず、村の子どもが抱えて帰ろうとした。母親は火傷を恐れて止めたが、医者は鳥を濡れた布で包むよう教えた。鳥の世話に使う布は限られており、病人の分を減らすことはできない。子どもは自分の古い上着を裂いて敷いた。燃えた場所の損失を数える物差しは、一つではなかった。
二都市の軍は向き合ったまま、火の原因を知らなかった。ただ堤に穴があけば双方の家が浸かるため、木柵だけは共同で支えた。




