三つ目の議席
三市連邦では、軍の紛争を裁く臨時評議が開かれた。フェラトの議員は峠で剣を抜いた王領の兵を処罰せよと主張し、小市の議員は水を守る取り決めまで壊れると案じた。第三市の代表は怪我人の費用を誰が負担するかを尋ねた。
調停官ユリウスは番小屋の壊れた板を机へ置いた。壁が倒れたのは戦闘の前か後か。同行した羊飼いは、倒れた岩の位置を説明した。彼に都合のよい証言ばかりではなかった。
議会は王領に賠償を求めたが、金額は決めなかった。兵の治療費だけでなく、次の雨で番小屋が崩れないよう直す費用も必要だった。三市はそれぞれ別の積算を出した。
ユリウスは三つ目の議席を、戦いに参加していない峠の住民へ開く案を出した。村人は王領にも連邦にも税を払った年があり、どちらにも忠誠を誓っていない者もいる。議員の一人は外部の声を入れる危険を説いた。
その日の評議では結論が出ず、代わりに住民の代表を探すことだけが認められた。峠の女宿主が推薦されたが、本人は宿を休めば客が困ると断った。
宿主は夜の聞き取りで、峠の雪を片づける者の名前を挙げた。兵でも議員でもなく、荷を運ぶ商人から小銭を受け取る老人だった。彼が働かなければ峠は数日で通れなくなる。ユリウスはその名も招待状に加えた。議会に来られる者だけを選べば、道を使える条件そのものを見誤ると分かったからだ。
ユリウスは宿主の仕事が終わる夜に聞き取りへ出向いた。議席とは椅子に座ることだけではない。話すための時間を持てない者を、誰が代わりに語れるのか。連邦の試みはまだその問いに届いていなかった。




