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第四次世界大戦――剣と盾しか残らなかった世界で  作者: 竜太郎


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峠の黒土

ラウゼ峠では、雪の下から黒い土が現れた。占領側の将校イザクは、それが焼けた家の跡だと知っていた。去年の攻防で壊れた村に、暮らしを戻そうとする者がいる。占領軍は畑を許可したが、家を建て直す材木は渡していなかった。

農夫の女性が、畑の端へ小さな石を並べていた。彼女の家族が埋まる場所だという。兵は防衛の邪魔になると石をどけようとした。イザクは手を止めさせ、そこが旧街道から何歩離れているか測った。軍用の道幅を確保できると知ると、石はそのまま残した。

谷の向こうでは、敗走した側の将校ゲレンが残兵を集めていた。峠を取り返すには食料も冬服も足りない。だが故郷の村で、占領軍が死者の石を動かしたという噂が広まれば、志願兵は増えるかもしれなかった。

彼は噂の真偽を確かめさせた。戻った斥候は石が残っていると報告したが、家を建てる木はまだ届いていないとも言った。ゲレンは志願兵へ無理に出撃を命じなかった。

日暮れ、農夫は焦げた土をほぐし、豆の種を五粒だけ蒔いた。暖かくなるまで芽が出るかも分からない。イザクは兵の見回りを減らさず、畑を踏まない道を新たに引いた。

畑の種は、山を下りた商人から高い値で買ったものだった。農夫は全部を蒔かず、三粒を布に包んで残した。もし霜で芽が死んでも、次に試せるようにするためだ。イザクの部下が畑の近くへ炊事場を置こうとしたとき、農夫は煙が苗を傷めると申し出た。部下は不満を言ったが、炊事場は風下へ移された。

両軍の地図には峠の小さな畑など載っていない。それでも道を変えた兵は、そこへ何かが植えられていることを忘れなかった。

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