白線の傷
橋の半ばで荷車が横転した。車輪が古い鉄の継ぎ目に挟まり、積んだ薪が東岸へ転がった。西岸の若い兵が拾おうと駆け出し、東岸の門衛は境界を越えるなと叫んだ。言葉が通じる前に、双方の盾がぶつかった。
誰かの剣が抜けた。刃は胸ではなく肩をかすめ、血が冬服を染めた。荷車の御者が車輪の下敷きになっても、盾の列は一歩も退かなかった。知らせを受けたエドランは、現場へ走る途中で剣を抜くなと命じた。
西岸の小隊長も兵を呼び戻した。だがすでに二人が倒れ、片方は反対岸の盾に隠れて見えない。互いに相手が死体を奪ったと疑い、橋の端に新しい兵が集まった。エドランは盾を掲げるのでなく、傷ついた兵の靴を見せるよう頼んだ。
白線の東に倒れていたのは西岸の少年兵だった。まだ息がある。東岸の医者テラが担架を持って入り、両軍はわずかに道を開けた。御者は脚を骨折し、助け出すのに日暮れまでかかった。
負傷者を数えた後、橋の継ぎ目には板が渡された。誰の責任かを問う軍議は続いている。それより先に、同じ場所へ次の車輪が落ちるのを防ぐ必要があった。
負傷した少年の盾には、内側へ小さな線が十一本彫られていた。同じ班の兵は、夜警を終えるたび一つ刻んだのだと説明した。十二本目を刻む朝に橋へ来たらしい。テラはその話を聞いても治療の手を止めなかった。血止めの布を押さえる手に余計な力が入らぬよう、声を低く保った。少年の腕は動いたが、剣を持てるかはまだ分からなかった。
深夜、兵が洗った板には赤い染みが残った。橋の市場を守る者たちは、戦闘が起きないことと戦争が終わったことを取り違えなくなった。ハルヴァンは帰営し、倒れた少年の母親へ知らせる役を自分から引き受けた。




