島の冬市場
ハルノ島では、商船を奪われた後も小さな市場が開かれていた。魚と豆を交換し、古い衣服を縫い直す人が並ぶ。港の倉には売れなかった干物が積まれ、島長は傷む前に分けるよう命じた。
遠くの島から小舟が来て、穀物を運んだ。船頭はサルディアの新しい通行税を避け、夜の浅瀬を通ったという。島長は危険な航路だと知っていたが、船が来なければ子どもたちの食事が減る。
若い漁師は税を払って正規の航路を使えばよいと言った。船頭は、先払いしても途中で別の港が税を取ると説明した。
市場の隅では子どもが布人形を作っていた。奪われた船に載せた人形が届かないため、島の孤児院に渡すものを新しく縫っていたのだ。
島長は船頭へ穀物の代金を払い、海峡で見た巡察船の数を聞いた。船頭は三隻を見たが、全て同じ国か分からないと答えた。船の形は似ていて、旗は霧に隠れていた。
夕方、島長は市場の残った魚を共同の鍋へ入れた。人々は同じ汁を分け合い、船を待つことだけが生活ではないと互いに言い聞かせた。
冬市場の取引では、干物を売る者が魚の大きさを細かく分け始めた。以前なら同じ値段だったが、穀物が少ない時期は一尾の差が大きい。島長は秤を持ち込み、売り手が損をしないよう目盛りを皆に見せた。買い手は値が上がることを恐れたが、魚を取る若者の網が破れれば次の市に並ぶものも減る。市場の公平さは、売った瞬間だけでは決まらなかった。
それでも港の見張りは夜も交代しなかった。誰も明日の船影を見落としたくなかったからだ。海の向こうに王国があり、島の中には毎日の暮らしがある。その間を渡る道はまだ細かった。




