熱の下がった朝
避難民地区の腹痛は少しずつ収まってきた。しかし病人の中には体力が戻らず、起き上がれない者がいた。テラは治った人数を報告するよう求められたが、熱が下がっただけで歩けない者をどう数えるか迷った。
ヴァルドの書記は「病人減少」と記そうとした。テラはそれを止め、回復中という欄を新しく作った。水を飲めるようになっても、食べ物を噛む力が戻るには日数がかかる。
サナは共同炊事場で、柔らかい粥を少量ずつ配った。子どもたちは薄い味に不満を言ったが、吐かずに食べ終えた者から笑顔が戻ってきた。
病気が広まったとき井戸の札を掛けた少女は、その札を外してほしいと頼まれた。井戸はまだ使えない。彼女は札を新しく描き直し、汚れた水と飲める水を絵で区別した。
「治ったのに、どうして駄目なの」幼い子が尋ねた。
「病気が減ったのは、飲まなかったからかもしれない」少女は医師の言葉をそのまま返した。
夕方、西岸の司令部には腹痛の患者が減ったという報告が届いた。同じ日、北部の峠では別の軍が兵を集めているとの知らせも届く。ヴァルドは二つの紙を同じ机で読んだ。
医療所の助手は回復した者に畑の仕事を頼もうとしたが、テラはまだ重い荷を持たせないよう止めた。働かなければ配給が減る地区もあり、病人たちは無理に立とうとする。サナは回復中の者にもできる仕事を探し、野菜の皮むきや子どもの見守りを任せた。働けることを証明しなければ食べられないという恐れを、少しずつ取り除くためだった。
夜、テラは空いた寝台を数え、毛布を洗わせた。まだ次の患者が来ないことを祈りながらも、寝台を片づけきることはしなかった。




