↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第四次世界大戦――剣と盾しか残らなかった世界で  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
101/192

峠の留守番

ミシュラ軍のゲレンには、本国から新しい命令が届いていた。占領した峠を保持したまま、さらに北へ別隊を送れという。兵は少なく、食料も足りない。ゲレンは動かせる人数を計算したが、守備を削れば避難民の戻る道が無防備になる。

部下は空き家を砦にして守る案を出した。ゲレンは村を壊せば次の春に住人が戻れないと反対した。代わりに峠の石壁を補強し、見張り場所を二つ減らした。

本国の使者は進軍を急がせた。「勝った勢いを失うな」と言う。ゲレンは使者を倉へ連れて行き、空の棚を見せた。

「勢いでは、この棚に麦は置けない」

使者は黙ったが、帰れば命令違反として報告するかもしれない。ゲレンは現地の不足を細かく書き、署名をした。

夕方、ラウゼの村から逃げた老人が山道に戻って来た。庭に埋めた種を掘り出したいという。ゲレンは護衛を付け、短時間だけ入村を認めた。兵の一人は敵の住民を助ける意味が分からないと呟いた。

老人は種の包みを見つけ、雪を払いながら歩き出した。「ここに戻って来る」と言ったが、ゲレンは答えられなかった。

ゲレンの補給係は、村の戸板を守る決定を支持しながらも、兵が凍えれば将軍の責任になると警告した。将軍は兵の冬衣を数え、破れたものから先に繕わせた。傷を負った兵の中には針仕事のできる者がいて、戦列へ戻る代わりに修理場で働くことになった。敵の村の戸を残すという決定は、その日から自軍の暮らしを見直す仕事にもなった。

その夜、北へ行く予定の別隊は出発せず、峠の外で待機した。本国の旗は変わらず翻っている。だが旗の下で毎日使う麦の量は、計算するたび少しずつ違っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。