元凶の男との遭遇
その死者が四方八方から出てきてカズトとルブランを取り囲むようにした。老若男女あわせて6体ほど、姿は違うが昨日会ったのと同じであれば倒せないこともない。ルブランもそう考えたようであり、二人は互いに背中を合わせるように位置を変える。
その時であった。「おやおや、妙な人たちに出会いましたな。」男の声が聞こえた。
カズトが声のした方を見ると、死者たちの後ろに壮年の男性が立っていることに気づいた。恰好は普通だが雰囲気は何となく司教をしていたもののように感じる。
「レドリー!」ルブランが叫ぶ。「私をご存じでしたか。はて?あなたは・・・。」とレドリーいう。
「ふざけるな、ルブランという人物を忘れたか!」
「ルブラン・・・?ああ確かに私が実験でよみがえらせた被非検体にそんな名前の人がいましたね。数少ない言葉を発した貴重な死者でしたね。」
「隣に居る人はお友達ですか?死者にお友達、ふむ、それは興味深いですね。あの時は逃がしてしまいましたが、せっかく帰ってきたのですからもう一度研究して差し上げましょう。」
ここまでの会話を聞いてカズトは少し不快感を覚えた。丁寧な言葉遣いではあるものの、その言葉には生命に対する倫理観が全くないからだ。死者を蘇らせるものだからか、命に対する敬意がなく、命をまるで物のように扱っている。
「ああ、そうだ。せっかくだからここにある死者たちを始末してくれませんか。彼らは一通り研究した不用品で一応見張り役にしているのですが、いらないので処分していただけると助かります。」そう言ってレドリーはここを去ろうとしていた。
「待て、レドリー」ルブランがなおも叫ぶ。「では彼らを始末したらまたお会いしましょう。ついでにあなた方が死体になってくれたら楽でいいのですが。」レドリーはそう返事をした。
そのとき、レドリーのもとへ2つの何かが飛んできた。レドリーはそれを防ごうとしたが間に合わず、右腕と左わき腹に飛んできた何かが突き刺さる。飛んできたのは投擲用のナイフ。投げたのはカズトで、レドリーが会話に気を取られた隙をついてナイフを投げていたのだ。
ナイフは思いのほか深く刺さったためか、血が流れ始めている。とはいえ急所ではないのでレドリーは無事であるみたいだが。「・・・また会えることを楽しみにしていますよ。」レドリーはそう言い残して去っていった。




