--間話-- 死者は眠らない
夜は長い。私、ルブランは常にそう感じている。
死者になった私は眠ることがない。そのため夜になったら部屋でひたすらとじっとしている。そして聞こえてくる死者のうめき声をただひたすら聞いて過ごす。
もちろん周囲にうめき声をあげる存在はいない。だけど聞こえる。この声は自分の周囲というより、自分の中から聞こえてくるようだ。
私は死んだのにレドリーのせいで無理やり生き返えされた。冥界から私の魂を呼び戻すときに、一緒にほかの魂、ないしその一部も連れ戻されたのだと推測している。ただ彼らは苦しくうめくだけだ。
「復讐が目的か?」カズトさんに聞かれたことが脳裏によぎる。
あの時私はそうだと答えたが、本当にそうなのかわからない。というよりも自分が何をすべきなのかもわからない。
「私は何がしたいのだろう?」もう何度も問いかけてきた。だがいまだに答えがわからない。だけど明日になれば答えがわかるかもしれない。ようやくレドリーの足取りをつかめたのだから。
そうして私は目を閉じる。眠ることはないが、生きていた時の習慣で夜は寝床で目を閉じるようにしている。そして私は妻と娘と一緒に過ごしていた日々を思いだすようにしている。
仕事を終え家のドアを開けて帰ってきた後、「おかえりなさい、あなた」「おかえり、お父さん。」と声をかけ、迎えてくれたあの日々のことを。
もうあの日は戻らない。それでも私はあの日の何度も繰り返している。当たり前だったけど幸せだったあの日のことを。




