生きていない男
ズトたちはなんとか目的地であるモリブデンの街にたどり着いた。犠牲者を出したものの任務は無事に果たせたので、約束通りに報酬を得られた。
報酬を得た護衛者たちはその場で解散したが、カズトは解散して少ししてから先ほど生き返った男に声を掛けられる。
「俺に何か?」カズトが聞くと「私はルブラン言いまして、協力してほしいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」ルブランという名前の男はそう答えた。
普段だったら厄介ごとはごめんだが、この男のことを少し知りたいと思ったカズトはルブランの話を聞くことにする。同時に二人は人がほとんどいない場所へ移動する。これはルブランからの要望だ。
「それで要件は?」カズトが先に口を開く。「実はここから少し離れたところに死者を蘇らそうとしている、レドリーという男がいます。私と一緒にその男を始末してほしいのです。今日遭遇した死者の群れはおそらくレドリーが生み出したものだと思われます。」
「なぜ俺を?」」「先ほどの立ち振る舞いを見たところあなたが最も腕の立つ剣士だったからです。私個人の依頼なので大人数に頼むわけにもいきませんので。」
ここでカズトは気になったことを口にする。「なんであんたはそのレドリーを捕まえようとする?宗教裁判にでもかけるのか?」
死者を蘇生するような研究を禁止する法律は異世界にもない。仮にそうした研究を咎めるとすれば、宗教的な事情で裁くしかない。
だがルブランはそうした宗教関係の者だとは考えにくい。そうなれば死者の研究をしているものと個人的な関わりがあると推測される。カズトはそのつながりが知りたかった。
「・・・それは私の正体を見せたほうがいいでしょう」といってルブランは兜を外す。
カズトは驚愕した。今会話をしているルブランの顔は死者のように生気がない。さっき会ったゾンビたちと同じであった。




