感謝と別れ
レドリーの隠れ家ある荒れ地を抜け、二人は森林の中を歩いている。あと少しでモリブデンの街につく。
その途中、ルブランが倒れた。「おい、大丈夫か?」カズトが声をかける。レドリーが倒してからのルブランは様子がおかしい。倒れる前は人間と変わらないぐらいに生気があったのに、今は生気のようなものが感じられない。
その証拠に、ここに来るまでに5回も倒れた。「もしかしたら・・・」とカズトは思う。頭を切り替えてルブランを起こそうとするが、ルブランは力が入らないのかなかなか起きない。
「もう、私にも終わりが来るようです。」ルブランが小さく言う。
「終わりって・・・」
「レドリーを倒す前は内側から激しいエネルギーがあふれていたのですが、奴が倒れてからそのエネルギーがなくなったように感じました。何か緊張の糸がぷっつりと切れたような。」
「自分の意識がどんどんなくなっているのを感じます。もう私は長くないでしょう。」
カズトも予感していた。死者を蘇生したとはいえ完璧ではない。だからこそルブランももしかしたらとカズトは感じていた。
「レドリーが倒されたことに満足したのだと思います。もう後悔はありません。あなたも私の事情に付き合ってくれてありがとうございます。」
「最後にお願いがあるのですが、私をそこに連れて行ってくれませんか?」ルブランはある場所を指さす。樹木が生い茂っている森林の中で、そこだけは樹木がなく日が差し込めそうな場所であった。
「もう起き上がる力もありません。お願いしてもいいですか?」ルブランは改めてカズトに尋ねる。カズトは何も言わずルブランを抱えてその場所へと運んだ。
「やっぱりここはいいですね。私ははもうそのままにしておいてかまいません。」
「ああ、報酬ですね。私がもらっていた報酬は手を付けていません。そのまま受け取ってください。」そう言ってルブランは報酬の金貨が入った袋を手渡す。カズトはそれを受け取った。
「もう会うことはないと思いますが、本当にありがとうございました。」ルブランは空を見上げたまま、カズトに礼を言う。
「・・・じゃあな」カズトはルブランと別れ街へと帰っていった。




