レドリーの独白、犠牲の強要
それからミーズは色々な言葉をキテラに教えていくようになりました。最初は「オトウサマ」だけでしたが、「オカエリナサイ」「アリガトウ」などいろいろな言葉を話せるようになっていきます。これならば昔のようなキテラが戻ってくるのでは、と思いました。でも現実は非常でした。
キテラは徐々に体が動かなくなっていったのです。原因は体の劣化。冥界から死者の魂を呼び出して、死んだ体に宿らせることで死者は蘇ります。ですがもともと死んだ体であるためか、その体が徐々に劣化していったのです。皮膚や毛髪など体の各部にも異変が起きておりそのままでは体そのものが維持できずに崩壊する恐れが出てきました。
私はキテラの崩壊を止めるために調査や研究に着手します。ですが劣化を止めるなかなか手立ては見つかりませんでした。その時に私はある方法を思いつきます。「死んだ体で劣化が進むのならば、生きた体に娘の魂を定着させればいいのだ」と。
ですが誰を使えばいいのでしょうか。死んだ人間ならまだしも生きた人間をここに持ってくることはできません。仮に持ってきたとしても抵抗されてしまうのは目に見えていますから無理でしょう。
その時私は一人の少女が目につきました。ミーズです。キテラの世話をしている彼女ならば私たちの事情もなんとなくは理解しています。彼女ならば私に協力してくれると思いました。
とはいえ自ら命を差し出すとは考えづらいです。そのため魂の移し替えはミーズに気づかれず秘密裏に行うべきなのでしょうが、あろうことが私は彼女にすべての事情を話してしまいました。
とてつもない失策です。なぜ話してしまったかは自分でもわかりません。話した瞬間、逃げられると思ったのですが、彼女は「わかりました。この命が必要になりましたら教えてください。」とだけ言いました。




