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夫を奪ったアイドルの娘が、なぜか私を「ママ」と呼んだ。  作者: 熊猫ぱんだ


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検査結果

「真白……あなたのお腹の赤ちゃんに関する検査結果が出たわ」


百合子の声で。


橋の上の空気が再び張りつめた。


私は思わず自分のお腹に手を当てる。


「……検査結果?」


百合子は静かに頷いた。


「病院から今、連絡があったの」


私の心臓が速くなる。


怖い。


聞きたい。


でも、聞くのが怖い。


「赤ちゃんは……」


声が震える。


百合子は電話を握りしめたまま、ゆっくり息を吐く。


「命に別状はないそうよ」


私はその場に座り込んだ。


「よかった……」


涙があふれる。


蒼も私に抱きつく。


「ママ」


私は何度も頷いた。


「大丈夫」


「赤ちゃん、大丈夫なんだって」


その言葉に、蓮も力が抜けたように膝をつく。


目を閉じ、肩を震わせた。


「……ありがとう」


誰に向けた言葉なのか。


自分でも分かっていないようだった。


しかし。


百合子の表情は晴れなかった。


「でも」


その一言で、全員が顔を上げる。


「一つ、気になることがあるそうよ」


私は息をのむ。


「何ですか」


百合子は画面を見つめながら言った。


「検査で分かったの」


「赤ちゃんの血液型が、お父さんともお母さんとも一致しない可能性があるって」


橋の上が静まり返る。


「……え?」


私は思わず聞き返した。


「そんなこと、あるんですか」


年配の警察官が静かに口を開く。


「出生前の検査だけでは確定できません」


「出産後に改めて確認が必要です」


百合子も頷いた。


「だから心配しすぎないで」


「可能性の話よ」


私は胸をなで下ろした。


まだ確定ではない。


そう自分に言い聞かせる。


その時。


蒼が私のお腹へそっと耳を当てた。


「赤ちゃん」


小さく笑う。


「ぼく、お兄ちゃんになる?」


私は涙を浮かべながら笑った。


「そうかもしれないね」


蒼は嬉しそうに何度も頷く。


その姿を見て。


結衣も優しく微笑んだ。


「蒼」


「うん?」


「今度は、みんなで守ろうね」


蒼は元気よく返事をした。


「うん!」


夜明けの光が、少しずつ橋を照らし始める。


長かった夜が終わろうとしていた。


その時。


百合子の携帯がもう一度鳴る。


病院ではなかった。


非通知。


百合子は一瞬ためらい、電話に出る。


数秒後。


百合子の表情が凍りついた。


「……あなた」


低い声。


驚きと恐怖が入り混じっている。


通話の向こうの人物は、静かに何かを話している。


やがて百合子は震える声で聞き返した。


「それは本当なの?」


電話が切れる。


橋の上に重い沈黙が流れる。


私は恐る恐る尋ねた。


「お母さん……誰だったの?」


百合子はゆっくり私を見た。


そして、青ざめた顔で言った。


「十五年前に死んだはずの人からよ」

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