表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夫を奪ったアイドルの娘が、なぜか私を「ママ」と呼んだ。  作者: 熊猫ぱんだ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/85

行くしかない

「ゆめママ、蒼を殺す気だよ」


その言葉で。


何かが決まった。


怖い。


危険かもしれない。


罠かもしれない。


でも。


行かないという選択肢が消えた。


私は立ち上がる。


震える足。


それでも立つ。


「紬」


声が震える。


「行こう」


紬の目から涙が溢れた。


でも。


強く頷いた。


「うん」


その瞬間。


スマホが鳴る。


蓮。


私はすぐ出た。


『真白!』


息が荒い。


走っているみたいだった。


『どこだ!?』


「家」


『外に出るな!』


私は固まる。


「……何で」


数秒の沈黙。


そして。


蓮が言った。


『ゆめの車に包丁あった』


空気が凍る。


紬が息を呑む。


私は言葉を失った。


『警察も探してる』


『だから一人で動くな』


包丁。


最悪の想像が頭をよぎる。


でも。


蒼。


もし本当にいるなら。


「蓮」


私は静かに言った。


『何だ』


「蒼って子、知ってる?」


沈黙。


長い沈黙。


そして。


掠れた声。


『……知らない』


私は目を閉じる。


やっぱり。


何も知らなかった。


『でも』


蓮の声が震える。


「?」


『ゆめの部屋で見つけた』


心臓が跳ねる。


『子どもの写真』


空気が止まる。


『何百枚も』


鳥肌が立つ。


『全部同じ子だった』


蒼。


間違いない。


『真白』


蓮の声。


今までで一番苦しそうだった。


『俺、何も知らなかった』


私は何も言えない。


今さら。


そう思う。


でも。


少しだけ。


本当に少しだけ。


蓮も被害者だったのかもしれない。


そんな考えがよぎる。


その時。


新しい通知。


男から。


位置情報。


動いている。


リアルタイム。


倉庫から離れている。


車。


移動中。


そしてメッセージ。


『連れて行かれました』


私の血の気が引く。


続けて。


『高速方面です』


「……っ」


紬が泣き出した。


「蒼……」


私はスマホを握りしめる。


どうする?


追う?


警察?


その時。


またメッセージ。


最後の一文。


私は凍りついた。


『目的地は橋です』


橋。


隣で。


紬の顔から血の気が消えた。


唇が震える。


そして。


今までで一番小さな声で言った。


「私が落とされた橋……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ