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夫を奪ったアイドルの娘が、なぜか私を「ママ」と呼んだ。  作者: 熊猫ぱんだ


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なんでお前が妊娠してるんだよ

『なんでお前が妊娠してるんだよ』


私は画面を見つめた。


意味が分からない。


心臓がうるさい。


頭が真っ白になる。


「……何これ」


隣の紬も固まっていた。


スマホを覗き込み、顔色が変わる。


「その診察券……」


「知ってるの?」


紬が小さく頷く。


震える声。


「未来で見た」


鳥肌が立つ。


また。


未来。


いや。


未来じゃない。


“起きるはずだったこと”。


私はメッセージを見直した。


診察券。


確かに私の名前。


でも。


私は最近、産婦人科なんて行ってない。


じゃあ。


どうして蓮が持ってるの?


その時。


また通知。


蓮。


『どこで見つけたと思う?』


私は嫌な予感がした。


次のメッセージ。


『ゆめのバッグの中』


空気が凍った。


「……は?」


声が漏れる。


意味が分からない。


なんで。


星乃ゆめのバッグに。


私の診察券?


その瞬間。


紬が立ち上がった。


顔が真っ青だった。


「だめ」


「え?」


「絶対返信しないで」


小さい声。


でも必死。


「未来で……」


息を呑む。


「パパ、これ知ったあとおかしくなった」


胸がざわつく。


「どういう意味?」


紬が唇を噛む。


そして。


震える声で言った。


「パパ、本当は喜んだ」


空気が止まる。


「……え?」


「赤ちゃん」


涙が溜まる。


「ずっと欲しかったから」


私は言葉を失う。


蓮が?


喜んだ?


でも。


今はゆめと一緒にいる。


離婚まで迫ってきた。


なのに?


紬は続ける。


「でも」


少し間。


「ゆめママが見た」


背筋が冷える。


「それで?」


紬の顔が歪む。


泣きそうだった。


「全部、始まった」


その時。


スマホが震える。


今度は蓮からの着信。


私は固まる。


出るべき?


無視するべき?


すると。


紬が首を横に振った。


「出ない方がいい」


でも。


着信は止まらない。


一回。


二回。


三回。


異常なくらい。


そして。


留守電通知。


私は恐る恐る再生した。


雑音。


荒い呼吸。


そして。


蓮の声。


震えていた。


怒りじゃない。


焦りだった。


『真白』


長い沈黙。


『それ、本当なのか?』


胸が痛くなる。


聞いたことのない声。


そして。


次の言葉で空気が変わった。


『ゆめが嘘ついてた』


私は凍りついた。


「……え?」


留守電は続く。


『病院行った』


『妊娠してない』


呼吸が止まる。


『全部嘘だった』


紬が真っ青になる。


そして。


最後。


蓮の声。


今までで一番苦しそうだった。


『俺、何やってたんだ……』


留守電が切れる。


部屋が静かになる。


私は動けなかった。


蓮が。


気づいた?


全部?


その時。


──ブブッ。


新しい通知。


送信者。


星乃ゆめ


私は嫌な予感しかしなかった。


開く。


短い文章。


たった一言。


『蓮さんに何言ったんですか?』


そして。


数秒後。


もう一通。


今までで一番短い。


でも。


一番怖かった。


『返してください』

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