第三十五話 魔王軍属裁判
そのころ、魔王城では、キャンキャのげきが腹心ふたりに飛んでいた。
「もうさ、また負けちゃったじゃないの、あんたらどうしてくれるんだい!」
「あんたらっていっても、グルギアーラが弱かったのですじゃ」
「そうでごわす。赤毛が出てくるのなんて、予想外でごわす」
腹心、ふたりはふてくされた顔で言い返した。
そのとき、キャンキャがそれをきいて、頭にきた。
バチン!
「ひぃ」「あぅ」
キャンキャのおしおきはしばらく続いた。
おっさんふたりは、しごかれてもテンションが下がることはなかった。
「おだまり、あんたら、責任転嫁ばかりして、なんになるのさ。魔王軍高官なら、予想外のことまで考えて動くんだよ」
キャンキャが黒の扇子でビシッと指差しながらいった。
かなりの怒りようで声が荒かった。
ダダビラーがなにかひらめいたのかポンと手をたたいた。
「たとえばですじゃ、キャンキャさまのスーパースタイルで悩殺するとかですじゃ」
「いやーん」
ボンボコがからだをゆらし、女みたいな声を出した。
キャンキャのまゆ毛が最大限につりあがった。怒りが頂点に達した。
「ボンボコ、おだまりー」
バチン!
「あぅ」「ひぃ、なんであっしまで」
おしおきはしばらく続いた。
ボンボコがいらないことをしたのに、その被害はダダビラーまでおよんでいた。
「あんたたち、もっとましな作戦、考えられないのかい?」
キャンキャは扇子をひらきながらいった。
「さくせんですかい? んーなにかあるぅ、ボンさん」
「そうでごわすね、キャンキャ様が猫のきぐるみをきて、悩殺をする作戦どうでごわす」
「おー、動物化け悩殺作戦! グレイトじゃ、ボンさん!」
この言葉がまたキャンキャを刺激してしまった。
「おだまり!」
バチン!
「あぅ」
また、キャンキャは怒り、おしおきがしばらく続いた。
ふたりのおっさんは、キャンキャを挑発しているようにみえるが。
相変わらずのテンションだった。
それをみかね、ある言葉がしっくりこなかったのか、キャンキャは何かをいいだした。
「化けってなんだい、あたいは、おばばじゃないんだよ。どうやら、あたいを怒らせたいみたいだね、魔王
軍属裁判にかけるしかないみたいだね」
「いぃいぃ、魔王軍属裁判、それだけは、勘弁してくださいですじゃ」
ダダビラーの顔が青ざめてしまった。
魔王軍属裁判というのはそれほどのものなのか。
魔王軍でも恐れられているのはたしかだった。
再び、キャンキャが言い出した。
「だーめ、あたいが怒る代わりに聞いてあげるよ。公正な魔王軍の判決だよ」
そういい、部屋の奥にキャンキャは歩いていく。
すると、そこには神だなのような物があった。
「魔王軍裁判長イカスーハン様!」
キャンキャがいうと神だなのようなものがピカッと光った。
魔法陣が現われた。
そして、魔法陣から、とんでもないカッコをした人物がでてきた。
ダダビラーは口をおさえた。
「公正って、あのでたらめなことばかり言う裁判官が?」
「ダダビラー!」
「ひい、すみませんですじゃ、イカスーハン様」
ダダビラーはすぐさま、ひざまずき、ごめんのジェスチャーをとった。
イカスーハンの顔色がかわった。
「聞こえたゾヨ、よって、獄門の刑、鞭打ち100回」
「えぇ、ええー、まだなにも話してもないじゃないですか」
ダダビラーは泣きそうな顔でいう。
キャンキャが続け様に口を開いた。
「イカスーハンさまは地獄耳なんだよ」
「鞭打ち100回は、まぁ、おまえらのキャンキャに対しての忠誠心で許してやろう」
「あんたら、よかったじゃない。あたいに忠誠しててね」
「よかっただすじゃ」「ふー」
ダダビラーとボンボコは胸をなで下ろし力が抜けたように座りこんだ。
イカスーハンはおもむろに口をひらいた。
なにやら、手に祈るために使う葉がついた木をもっていた。
そして、それを上にふりあげた。
「今、魔王軍裁判マシン『マジンハン』様に判決内容をきいてみるゾヨ」
「ちんたら、チンタラすっとこどっこい、ゾヨサァ!」
イカスーハンの突拍子もないことばに、一同は面食らった。
これに裁判をされるのかと、ジト目だった。
たしかに、裁判官にはみえない拍子抜けの言葉だった。
一同が唖然となった。キャンキャも扇子で顔をあおり、だまりこんだ。
「?」
「あたいも魔王軍裁判マシンは初めてみるけど、ダダビラー、こんなのなのかい?」
あのキャンキャが、あきれたようにいった。
「こんないい加減なマシンにあっしらは、刑を言い渡されるだすじゃ」
「し、聞こえるよ」
キャンキャは急いで釘をさした。
そのときだった。
「ぽよよン、ぽよよン、すっとこどっこいさぁゾよ。今、魔王軍裁判マシン『マジンハン』様から判決が出た」
魔法陣が光り、そこに悪魔のような目が現われた。これがマジンハンなのか。
邪念からできた、目のモンスターのようだった。いかつくなくコミカルな容姿だが。
マジンハンはうすらわらいをした。
「うぬらが失敗したことは魔王軍に対しての面目をつぶした。よってうさぎ跳び、階段かけ上がり100段じゃぞょ」
「えー、うそでござんしょ?」
ダダビラーは口をかんだ。
高官といえど、あまりにてきとーで、ずさんな裁判に不服があったようだ。
そのとき。
イカスーハンが言葉をつむいだ。
「マジンハンさまは、うそはいわぬ。それ、階段じゃ」
PON!
イカスーハンがそういうと、目の前にちょうど100段はあろうかという、実刑ようの階段が魔力で現わ
れた。
「イカスーハンさま、なにとぞ、部下の失態は上司である、あたいの責任です。罪を軽くしてもらえないでしょうか」
キャンキャが階段を見て、軽く敬礼しながらいった。
イカスーハンは腕を胸の前でくみ、考え、首をかしげた。
「……キャンキャ大臣の言い分もごもっともだ。大臣の申し出を受けいれよう。そうだな、マジンハン様いかがなものか」
イカスーハンがマジンハンにおたけびをあげてきいた。
マジンハンは目を一回閉じた。そして。
「チンタラ、ちんたら、すっとこどっこいゾヨサァ」
「最終的に、またこれなのね」
イカスーハンにマジンハンの目から光がはいっていった。
これは意志の疎通のようなものだろう。光がおふれというわけか。
「うーむ、今、マジンハンさまからおふれが出た。階段駆け上がりか、もしくはこちょこちょの刑だそうだ」
とんでもない結果がでた。
「こちょこちょの刑?」
「こちょこちょマシン『コチョザイハン』をこれへ」
PON!
すると、こちょこちょ用マシンがその場に魔力で現われた。
そのマシンは機械だったが、人の手のようなものが多数あった。
これがコチョザイハンか。
それをみてぞっとしたのか、ボンボコは階段の方に歩いていった。
「ええい、おいどんは階段を上がるでごわす」
「さすが、筋肉マンだね、ボンボコは」
キャンキャはボンボコをほめたてた。
だが、ダダビラーは階段のほうには歩いていかなかった。
コチョザイハンのイスにすわったのだ。
ダダビラーはボンボコとちがい、体力がなかったのだ。
それを見計らい、イカスーハンは刑を執行した。といっても、コミカルな刑だった。
「スイッチオン」
「ぎゃはは、こそばい、こそばい、ぎゃははは、こりゃ、地獄だ」
ダダビラーはイスに座ると沢山の手にこそばされた。こそばいが、命は助かった。
「あ、あ、もう、みてられないね。でも、命が助かっただけ、二人ともましと思うんだよ」
キャンキャは不出来な部下をみやるとその場を去った。
しばらくのあいだ、コミカルな刑は続いた。
魔王軍にしてはゆるい刑だった。
他にいったいどんなコミカルな刑があるのか。
魔王城は謎につつまれていた。
☆☆
おつかれさまです。
どんな時間帯もみてくだっている読者様には感謝です
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読み物としてがんばっていくのでブックマークなどしていただけるとうれしいです。
感想も何でもお待ちしてます。
またお会いしましょう。
帰り道読者様も気を付けてくださいね。




