第三十四話 解けない魔法呪
グルギアーラの一件から、しばらくの時間がたち、一向はパチンカラのアジトにいた。
「ファイさん、アミルラナさんに傷薬ペッタヒールをもらってきたので、塗りましょう。手当てさせてください」
「ん、お前、誰だ?」
「もう、何を言っているのですか? さっき、あなたがあたしを助けてくれたじゃありませんか」
「えっ、まさか、あの男姫さま? うそだろ?」
夏菜は男から元に戻り女の子の容姿だった。手に傷薬をもっていた。
ファイは開いた口がふさがらない。しばらく夏菜を指さしていた。
「もうやだな、おとこひめって。あたしは夏菜とかこっちではソニアという名前があるんですよ」
「あ、あぁ、そりゃ、すまないな」
そのときだった。ダンが部屋に入ってきた。ファイに嫉妬してみにきたのだ。
「そんなこと、姫さまがなさらなくても、俺がします」
「ダン、いいの。塗らせて、ね、お願い。あたしを助けてくれて、ケガしたんだし、ね」
ダンが夏菜から傷薬をとりあげたが、また夏菜がいうと同時に傷薬をとりあげた。
そのとき、アエリアがドアを開け入ってきた。
「やはり、魔法呪、タイムメールだったようですね」
「タイムメール?」
夏菜が不思議そうな顔でいった。
続けてアエリアは笑顔でいった。
「元の体に戻ってよかったですね、姫さま」
「でもね、あたし、一度、男の子になってみたかったのよ。いい体験ができて逆にうれしいわ」
ファイが夏菜の明るい言葉で笑顔になった。
「明るい姫さまだな」
「えへへ、そうですか。はい、塗れましたよ」
「あのな、うれしいのはわかるが、目のところまで塗らないでくれ」
「え、あ、すみません。えと、どうしたらいいのかな」
なんと、ファイにほめられたのがうれしかったのか、傷薬を顔のケガしているところだけじゃなく、上の
方まで塗ってしまい、それは目まで塗っていた。
夏菜は、ほめるとおだてに弱いというのか、おてんばな一面があった。
塗ってしまい、夏菜が一生懸命ファイの顔についてる傷薬を落とそうとした。
「ははは、ソニア姫さま、だいじょうぶですよ。その塗り薬は塗ると、数十秒で消え、傷を完治させることができるものですから」
ダンがほほえみながらいった。
「あ、ほんとだ、消えたわ」
「傷が治ったな。へぇ、こっちの世界の回復アイテムもすごいもんだな。優秀だな」
ファイがケガしていた頬を指でさわり、感心したよういう。完全に傷は消えていた。
そして、アエリアとファイの目線があった。
「ところで、お前は何者だ? 背中に片翼の羽があるようだが?」
「私は、ユメリア王家の守護神、天使アエリアだ。そちらの女性は聖騎士団ホーリーアークの騎士団長であ
り、女英雄アミルラナだ」
「女英雄か、古い名だな。よろしくな、ファイ」
「あぁ、こちらこそ、二人ともよろしくな」
三人は意気投合し、互いに握手をしあった。
こういう、平凡な日々が続けばいいのだが。
解けない魔法もあったのだ。アエリアはそれを想っていた。
バヌーラを倒さねば、この世界も夏菜も救えないと。
☆☆ ☆☆
おつかれさまです。
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