第三十二話 身の潔白の証明
不可解な言葉に、みなためらった。
その一連のなりゆきをみたキャンキャはベッドの上でハンカチをかんでいた。
「あーれー、あの赤毛の男はなんだい。いきなり現われて、一薙ぎでグルギアーラ倒しちゃったじゃないのさ」
「あっしが、魔法で調べたところ、何も情報がございませんですじゃ」
「ほう、情報がない男かい。あれは、召喚魔法陣だねぇ、あれで違う世界からきたっていうのかい」
「そうかもしれないでごわすね」
ボンボコがいう。
「くそ、後一歩のところで! 覚えてなさい。今度は負けないんだからね。さぁ、ダダビラー、ボンボコ、
帰るわよ。魔法車に足でこいで魔力を作っていれなさい」
キャンキャはそういうとベッドから立ち上がり、屋上にあった魔法車という移動専用の乗り物を黒い扇子で指差した。
「へいでごわす」
キャンキャの言葉にボンボコは不服そうな顔で仕方なくいった。
魔法車におっさんふたりは乗り込んでペダルをこいだ。魔法車は足でこぐことで、魔力が入り、空を飛べ
るというものだったのだ。
キャンキャが後ろの席に優雅に乗ったときだった。
「ほんとに、ひと使いは人一倍、荒いだす」
バチン!
「ひぃ」
キャンキャの毎度のげきがダダビラーに飛んだ。
「おだまり、さぁ、早くこぐんだよ。魔王城まで遠いんだから、日が暮れるよ」
「へぃ」
キャンキャたちはそうして、悔しそうにその場を去っていった。
その場にいるだれもがあっけにとられ、その行動に笑みが生まれた。
そして、それをみた夏菜がびっくりした顔でいった。
「あれ? 自転車みたいなのでキャンキャたちが帰っていく」
「よかったですね。撃退に成功です」
アミルラナが夏菜の言葉にうれしそうに答えた。
グルギアーラを倒し、街を救ったのだ。うれしくないはずはない。
みなに笑顔が生まれていた。当然、夏菜にもそれは生まれていた。
アエリアが夏菜をみた。
夏菜が剣をさしたとき、自分が助けに入れなくて心配だったのだ。
そのときだった。
「おい、お前、姫さまに危害を加えようとするなら、このアミルラナ、一矢むくいてでも貴様を倒すぞ」
「アミルラナ!」
夏菜がアミルラナの服をダメという顔で引っ張りながらいった。
アミルラナは、それでも剣の切っ先をファイに向けた。
どうにか身の潔白を証明する方法はないのか。
ファイはニヤリと笑った。
「ははは、俺がそんな風にみえるか? 確かに魔法陣から出てきて怪しいものにはみえるかもしれねーが、
だがな、俺はこの世界を救いにきたんだ。敵じゃねーよ」
「救いにきた?」
ファイの言葉をきくと、アミルラナは剣の切っ先を少し下げた。
ファイはそして、魔王軍に破壊された街並みをみた。
戦った跡は、ひどい様だった。建物は崩れ、火の手があがり焼けこげていた。
「それにしても、ひどい荒されようだな」
ファイがそういうと、みな、辺りを見たりして、うつむいた。
夏菜も呆然と立ちつくしていた。敵は撃退したものの、自分の無力さを感じたのだ。
「非道な、無差別破壊か。それに丸焦げだな」
「これが、魔王軍のやりかたなのです」
「魔王軍?」
ファイが首を傾げた。
「この世界を蹂躙し、支配しようと侵略を続けているものたちです」
アミルラナが淡々というと、みなうなずいた。
そして、アエリアが話をきりだした。
「姫さまは、あなたと同じように異世界からこられたのですが、そこで、魔王バヌーラの呪術により、六時
間おきに性別が変わる魔法をかけられてしまったのです」
「呪術? 術者が死ぬまでその魔法は解けないとかいうのか?」
「そうです。よくご存知で。貴方の世界にも同じようなものがあったのですか?」
「まぁな、逆に魔族にそういう術を仕掛けた男はいたな」
「魔族に?」
アエリアが驚き、ためらった。
たしかに、魔族に術をかけるというのはこの世界では珍しいことだったのだ。
ファイはへへと笑い、話しだした。
「へぇ、魔王バヌーラか。手応えがありそうだな。滅殺する理由もある。よし、乗ったぁ。俺は男の姫さまを元の体に戻るまで手助けをしよう。お前たちと行動を共にする」
「ありがとうございます、ファイさん」
夏菜が近付いて、ファイの手をギュッと握った。
「よせよ、照れるじゃねーか」
「待ってください。姫さま、そいつはもしや、魔王軍の手先で魔物が人間に化けているのかもしれません」
ダンが剣を引き抜いて、その切っ先をファイに向けた。
ファイは動じることなく、鼻をフンとならした。
夏菜が一触即発の事態にあわわとなり、ファイの前に立って、両手を平行に広げた。
自分を助けてくれたし、とても悪い人には思えなかったのだ。かばいたかったのだ。
「ダン、そんなことないよ。グルギアーラも倒してくれたじゃない」
「周到な魔王軍ならグルギアーラを駒として扱い、我らに罠をしかけるのも考えられます」
「小僧、俺が魔族だといいたいのか。わかった、なら、みせよう」
ファイはそういい、腰に装備していた、短刀を引き抜いた。
その行動に、一瞬どよめきが生じた。
そして、ファイは短刀を自分の左手にあてようとした。
「アミルラナといったな、この世界じゃ、魔族の血は何色だ?」
「紫色だ」
アミルラナは、ファイが手を切ろうとしているのはわかった。
人間の血の色で、身の潔白をしようとしていたのだ。
ファイは、手を切ろうとした。
「(まさか)やめろ、斬るな」
そのときだった。
☆☆
おつかれさまです。
ファイ出てきてますね。
どんな時間帯もみてくだっている読者様には感謝です。ありがとうございます。
次は今日の2200に更新します。
こちらの話もどうなっていくのでしょう。
ダブル主人公みたいになってますね。
こんな遅い時間帯に見てくださってありがとうございます。
よければ読み物としてがんばっていくのでブックマークなどしていただけるとうれしいです。
感想も何でもお待ちしてます。
帰り道読者様も気を付けてくださいね。
感染症も収まってきた感じですがまた冬にはやるのではないかといわれています。
こういうことで、命を絶つことだけはやめてくださいね。生きていればいいこともあります。ずっとつらいことは続くものではないです。楽しいこともきっとあります。
楽観視してください。ワクチンも出て、飲み薬も近いうちにできるのではないかといわれています。きっといい方向にいくはずです。複雑に思いつめないでくださいね。では、また十時に。




