第二十八話 赤き竜との決戦
「(お父さん、頑張って。私はここにいます。あなたの娘です)」
「ん、なんだ、気のせいか? 誰かの声が聞こえた気がしたが」
ラクイン王が何かを感じたのか、一瞬、上空を見上げた。
アレオンが続けていった。
「王様、瘴気でしょう。やつの波動がこちらまできこえてくるようです」
ラクイン王はニヤリと笑った。この強敵の前に笑う余裕があるようだ。
「くそっ、アミルラナ隊長が遠征しているときに。デカ物、ユメリア騎士団、三銃士をなめるな」
そういうと、バズットがかけ声をあげて、動いた。
グルギアーラも大きな口を開け、そこに炎のエネルギーをためた。
「くらぇ、『ファイアブレス!』」
グルギアーラの猛烈な炎が口から放射された。
辺り一面が炎の熱で溶けていく。
バズットは横手にかわし、グルギアーラの足を切ろうとした。
「なんのぉ、俺の斧を受けよ」
だが、グルギアーラはうまく羽で飛んで後ろ手にかわした。
そのときをアレオンは狙っていた。
飛んで着地する瞬間は一瞬の隙ができるからだ。
バズットがそれを見計らい、雄たけびをあげた。
「よし、飛べ、アレオン!」
「うらぁ」
アレオンがグルギアーラの着地とともに胴体にきりこんだ。
だが、そううまくはいかなかった。
「切れない、ッ、(尻尾?)しまったぁ」
Buooooo!
着地と同時に、グルギアーラは素早くシッポで攻撃を仕掛けてきた。
切り込んだが、竜の鱗は鋼鉄並みに硬かったのだ。
きれることなく、ノーダメージに終わった。
「炎がくるぞ、横に飛べ、アレオン!」
アレオンに炎が直撃した。
「なんて、炎だ! こてが溶けた」
なんとか、もちこたえていた。
だが、アレオンの左手は防具のこてがとけ、軽い火傷をしていた。
しかし、痛むものの、なんとか普通に手は動くようだった。
バズットが心配そうな顔で口をひらいた。
「だいじょうぶか?」
「ああ、想像以上の炎だ。普通のドラゴンより熱量が上だ」
アレオンが悔しそうに舌打ちをした。
続けてアレオンが言葉をつむいだ。
「やつの鱗が硬くて、剣では切れない」
「いったいどうしたら?」
バズットにも焦りの色がみえていた。
そのときだった。
「皆のもの、わしに続け、聖なる力で一掃してくれようぞ、いくぞ」
ラクイン王にはなにか秘策があるようだった。
そして、ラクイン王は見計らうと動いた。
ラクイン王の左手に、白い光が収束していく。
いったいこれは? 魔法なのか?
「『聖魔法ホーリーボムズ!』」
「何、光の弾だと?」
なんと、ラクイン王がはなったのは魔法の光の弾だった。
左手から、数発、グルギアーラに向かってはなたれた。
光の弾はグルギアーラを捉えたように追撃していく。
そのとき、グルギアーラは至近距離に入ってきたラクイン王に向かってシッポを飛ばした。
「尻尾だと?」
「王様、危ない!」
「おのれぃ、我が尻尾をはじき飛ばしただと」
ラクイン王を助けようと、バズットが怪力で斧を打ち込み、シッポをはじき飛ばした。
これが勝機を決した。
「済まない、バズット。今だ!」
同時に、光の弾が数発、グルギアーラに命中した。
その瞬間、ラクイン王はグルギアーラの頭の上に飛んだ。
剣を思いっきり下に、ふりかざした。
「いけぇ、聖剣エクスキャリバーよ!」
「ぐぁあぁぁぁぁぁぁあっ」
それは、見事にグルギアーラの赤い右目にささった。
からだをゆらし、大きな咆哮をグルギアーラはあげた。
ラクイン王は剣を目につきさしたまま、剣をはなし、スタッと地上に降りた。
「やった、赤い目に刺さった!」
アレオンがよろこび、声をあげた。バズットもガッツポーズをとった。
「ぐあぁ、目が目がぁあっぁあっぁぁつ」
それがグルギアーラの最期の断末魔となっていた。
グルギアーラの巨体がその場にすごい音を立てて倒れふした。
「(お父さんすごい。強かったんだ)」
夏菜が竜を相手に、すごい戦いをする自分の父親に感心していた。
たしかに、王は強かった。
だが、王は、足をガクッと地面に落とした。
かなりの魔力を要したからだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、魔法力を使いすぎたな。力が、はいらん」
「だいじょうぶですか、王様。やりましたね。さすがです」
アレオンがかけより、心配そうな顔でいう。
「バヌーラめ、こんな化け物を後いくつ引っさげているのだ。やつの魔力は計りしれんな」
そのとき、夏菜が王の前に降り立った。
しかし、夏菜の姿は王たちにはみえるはずもなかったのだ。
「(お父さん、私はここにいるんです。あなたの目の前にいるんです)」
夏菜は一生懸命、念じた。想いが伝わるように。
すると、
「なにか、感じる」
「(うそ、あ、足が消えてきてる。元の世界に帰るの? お父さん、死なないで。決して無理はしないでく
ださいね。約束してください)」
夏菜が必死に言うと、奇跡的に王は少しだけなにか感じたようで、首をかしげた。
夏菜は、また父と会えてうれしそうだった。
ラクイン王はアレオンのほうをみやった。
「何か、言ったか、アレオンよ」
「いえ、何も」
「変だな。目の前で誰かの声がしたような気がしたが」
ラクイン王は夏菜の消える姿をみながら、首をまたかしげた。
そして、見えているはずはないのだが、夏菜のほうに手を差し伸べた。
「誰もいないな」
夏菜は精一杯ラクイン王の手を握った。
生まれて初めて、実の父親と仮であれど手をつないだのだ。
「(お父さん。やっと、お父さんと初めて手をつなぐことができました。私の手があなたの手の上にあるんですよ。死なないで)」
ラクイン王はしばらくすると、ぎゅっと手を握った。
笑顔がふたりに生まれていた。
親子の絆はみえなくてもなにか伝わるものがあるのかもしれない。
もう、会えない人とわかっていても。
そして、夏菜の姿は完全にその世界から消えた。
ラクイン王は立ち上がり、上空をみやり、手を挙げた。
バズットも、アレオンも、後に続くように手を挙げた。
強敵から勝てて、勝利の瞬間だった。
夏菜の想いも、きっと届いたはずだ。
☆☆
こんな時間帯に見てくださってありがとうございます。
おつかれさまです。
読者様も疲れましたね。
帰り道足元などお気を付け下さい。
この出てきてる王様、王様らしくもなく戦闘タイプで強いですね。
魔法も使える王様ですし。
ソニアはというと、現代にいた子ですから、かわいいものです。
ですが、ユメリアの宝玉の力で、その記憶の力が使えるということになっております。
魔双戦記の方もよろしくお願いします。
すみません、ファイが出るの遅くなってしまって。
もうすぐほんとに出ます。
またお会いしましょう。
感想などかいていただけるとうれしいです。作者の書く気力になります。
どんな時間帯もみてくだっている読者様には感謝です
ほんとにありがとうございます。




