第二十七話 儚い記憶
夏菜はうす暗い城の中にいた。オーバークロニクルだ。
おそらく、記憶の中の過去にきているのだろう。
夏菜は城の上空にいた。
うすぐらい城の中の上空から、下を夏菜は見下ろした。
剣を持った人が三人いた。
みな、剣幕が必死だった。
そのなかのひとりが、魔法で扉のロックをこじあけようとしていた。
「ラクイン王様、魔戦城の玉座への扉のロックが解除されました」
「アレオン、よくやった。よし、バンダム王を助けるぞ。重いな」
そして、いうと、ラクイン王は重い扉を一回だけ手で押した。
だが、重くびくともしなかった。
思いっきり三人で蹴って、大扉を無理やり開けさせた。
そこにみえてきたのは? 凄惨な光景だった。
「な、なに?」
「バンダム王さまー」
ラクイン王がいうと、となりにいたアレオンが驚いて声音をあげた。
「(え、なに? あれは、前のときより少し若いけど、お父さん? 赤い竜に人が食べられている)」
夏菜は、自分の父親だろう人をみながら、上空を飛びラクイン王の後をついていった。
夏菜は、部屋の壁もすり抜けて通ることが出来た。
浮遊霊みたいなものなのだろう。記憶の断片といえど。
そして、夏菜が部屋に入ってみたものは。
なんと、バンダム王は赤い竜にひと飲みされ、食べられていた。
骨を砕く音がきこえた。
「ぐへへ、うまかったぞ。実にうまかった。人肉は久しぶりじゃ。どうれ、そこにきた、虫けらどもも食ってやるか」
赤い竜はいった。ドロッとした声だった。
その巨大な姿に、一同は面食らった。
「バ、バンダム王が食べられただと……。おのれぃ、化け物め、ぶった切ってくれよう」
「ぐはは、面白いことを言うな、お主は、ラクイン王というところをみると、ユメリアの王か。我は、魔王軍の古の赤竜、グルギアーラじゃ。フハハ、力が満ちあふれるぞ。魔王バヌーラ様の魔力の恩恵とは、これほどのものか」
グルギアーラは咆哮をあげながらいう。
ラクイン王たちにはためらいなどなかった。
バンダム王を助けるためにきていたが、その無残な姿を見て、立腹しないわけがなかった。
みな、剣幕が変わっていた。
ジリリと歩を歩ませ、間合いを縮めていた。
グルギアーラは不敵な笑みで口を大きくあけた。
「(バヌーラ? 魔王? 確かパチンカラの街にいた赤い竜も、アミルラナさんがグルギアーラって言っていた気がするわ。この古の竜が復活したというの?)」
夏菜は倒れる前にアミルラナがいっていたことを思い出していた。
たしかに怪物の容姿も一致していた。ただ、体の大きさはちがっていたが。
だが、そうだとすると、現世によみがえっていたということか。
そのとき、不敵な笑みをみせ、ラクイン王が余裕ぶった顔でいった。
「古の赤き竜か。とんでもないものを魔王は復活させてくれたものだ」
「青二才が。口がすぎるぞ、殺してくれようぞ」
「だが、わしは知っておるぞ。グルギアーラ、お前が英雄キーリスアスに一度敗れて封印されていたことをな」
ラクイン王が剣を構え、逆鱗にふれることをいった。
この言動には、グルギアーラも容赦はなかった。
おそらく、一番、気にいらない人物だったからだ。
グルギアーラは大きくほえた。
城の部屋が大きく揺れた。
「キーリスアスじゃと、憎たらしい名前じゃ、生きていれば殺す」
「もちろん、古文書にお前の弱点も書かれていた。そこを我が、聖剣エクスキャリバーでつけば、お前を奈落の底に落とせる」
ラクイン王がそういったとき、夏菜は首をかしげていた。
見慣れない騎士が二人、王様のお供でいたからだ。
いったい、誰なのか? 不思議がっていた。
「(あれは、誰だろう、あんな人、騎士団にいたかな?)」
「アレオン、バズットよ、赤竜の両目をよく見るのじゃ」
「(アレオンさんに、バズットさんていうんだ)」
「?」
アレオンとバズットの目線がグルギアーラの両目にいく。
「片一方が黄色く、右目が赤いであろう。あの赤い目はやつの心の臓とつながっておるのじゃ。赤い目を狙うのじゃ、そこを斬れ」
たしかに、グルギアーラの目の色は左右ちがった。
グルギアーラが一瞬、動揺して、動きが止まった。
夏菜は王様の近くにいたが、空中で感心していた。
夏菜にとっては、みんなを助けられるいいことをきいたのだったのだ。
弱点だったからだ。
「(古文書に描いていた? 赤い目が弱点なの?)」
「わかりました、王様。よし、バズット、王様に道を作るんだ。同時にかかるぞ」
「おうや」
バズットが斧をふりあげ、大きな声でいった。
夏菜は近くまで降りてきて、手を胸の前で握っていた。
心配だったのだ。
☆☆
おつかれさまです。
読者様も疲れましたね。
ゆったりなさってくださいね。
もうすぐファイ出てきます。待たせてすみません。
キャラ同士の掛け合いとかをみてください。
強さで言うと、この世界の者たちよりもファイたちの方が上です。
世界は違いますが、魔法や剣を使いよく似ています。
次は今日の22:00にアップします
魔双戦記の方もよければみてください。
こちらの物語は魔双戦記のサイドストーリーです。
いわゆる、世界がつながっているわけです。魔双戦記の方でもこちらの話がでてくるかもです。
当分出てきそうにないですが。
またお会いしましょう。
ブックマークなどしていただけるとうれしいです。
感想も何でもお待ちしてます。
作者ちゃんと見ています。
どんな時間帯もみてくだっている読者様には感謝です、ほんとにありがとうございます。




