第二十六話 古の竜との戦い
「なんて、デカイ竜だ」
ダンの開いた口がふさがらなかった。
たしかに、家一個分くらいの大きな赤い竜だったからだ。
騎士団員たちは、恐怖心でいっぱいだった。
これとどう戦えというのかという面持ちだった。
アエリアが口火をきった。
「どうやら、レッドドラゴンのようだな。うそかと思っていたが、あの子のいったことはほんとだったようだな。手ごわいぞ」
そのとき、アミルラナが横槍をいれた。
「いや、ちがう、あの頭の角、あれは古の赤竜、グルギアーラだ」
「グルギアーラ?」
一同が面食らった。夏菜も開いた口がふさがらない。
「普通のレッドドラゴンは、あんなに大きな角が頭にはない。昔、私が隣国へモンスターを討伐に行っている時に、同じ隊にいたものから聞いたことがある。だが、それなら、おかしい。ラクイン王に葬られたはずだが」
アミルラナがそういったときだった。
「おーほッーほっほ。また、あっちゃったじゃないのさ、ユメリアの姫さんたちに」
「あなたは魔王軍のキャンキャ・キレイザー!」
「光栄だね、姫さんが名前を覚えてくれていたようだね」
騎士団の視線がキャンキャに移った。
アミルラナの表情が険しくなった。
アエリアも敵意をみなぎらせていた。
キャンキャがそれをチラッとよそみて、語りだした。
「その通りさ、知ってるやつがいたようだね。古の赤竜だよ。あたいの魔力で封印されていたのを復活させたのさ」
そういい、キャンキャは黒い扇子をパッと開いた。
そして、扇子で顔を優雅にあおぎながら、アエリアをみていた。
「綺麗だねぇ。まぁ、隣にいるのはあたくしの天使様だね」
キャンキャの顔がにやけて、少しだけほおを赤らめた。
そこに、割って入ってきた魔王軍のおっさん二人がいた。
「キャンキャ様のスーパースタイルが黙ってないぞな」
「そうでごわす。もっふもふ」
バシィ!
「ひぃ」「あうぅ」
キャンキャのおしおきはしばらく続いた。
だが、このふたりはうたれ強く、図太いのか、逆にテンションがあがっていた。
「ダダビラー、ボンボコ、あんたらは黙ってな、いらないことはいわなくていいんだよ」
「へい、キャンキャ様」
キャンキャが、扇子をビシッとさして、まゆ毛をつりあげながらいった。
おっさんふたりはすまなさそうな顔をして、軽くうなずいた。
それがすむと、キャンキャはアミルラナをにらみつけた。
「フフフ、この赤竜は、あたいが、巨大化魔法ジャイアントフィーニで、身体を巨大化させてあるんだよ。普通のレッドドラゴンよりもブレスの破壊力は数段上だよ。倒せるものなら倒してみな」
キャンキャは、アミルラナを挑発していた。
アミルラナもにらみ返したが、騎士団員にも緊迫感がはしっていた。
どうきりぬけるか。どう、やつを倒すのか。
目先のことに気を集中していたのだ。
「いけ、我が魔王軍の赤き竜よ」
キャンキャが、そう言い放ったときだった。
「な、なに? ユメリアの宝玉が光っている?」
アエリアが夏菜を見て、とんきょうな声をあげた。
「うぅ」
「ひ、ひめさまー。いかがされたのですか、大丈夫ですか」
なんと、夏菜がまたその場に倒れこんだ。
急いでダンが駆け寄って、上手く地面に横にならさせた。
しかも、目の前にこんな危ない敵がいるときに。
危険だ。もし、炎をこの状態で浴びせられたら、いくらなんでもかわせない。
最悪の場合、死に至る。
ダンが必死に夏菜をかばうように身をていしていた。
「ソニア姫さま、いけない。こんなときに、またオーバークロニクルだ。ダン、姫さまを安全なところへ。
私とアミルラナたちで戦おう」
「はい、アエリアさん」
アエリアの言葉をきくと、ダンは夏菜を抱きかかえ、建物の影につれていった。
それをアエリアはみると、安心したのか、アミルラナにいった。
「久しぶりですね、いっしょに戦うのは」
「そうだな。アエリア、死ぬなよ」
「あなたこそ」
ふたりは昔からの戦友みたいなものだった。
たがいに、けん制し、士気を高めあった。
アエリアも、アミルラナもこの大きな敵と戦うのは命がけだった。
強がるが、危険は感じていたのだ。
近くには、レイ、ライ、カスミンもいた。
みな、細身剣やロングソードを引き抜いた。
決死の覚悟で魔王軍を退けようと、望んでいたのだ。
死しても、守らなければ、多くの民が死ぬ。
破壊しつくされ、街に火の手がもっとあがる。
みな、背水の陣だった。
☆☆
こんな時間帯に見てくださってありがとうございます。
まだまだ続いていきます。
こちらの物語も応援していただけるとうれしいです。
感想もなんでもいいのでお待ちしてます。
ファイもあと数話したら出てくると思います。
魔双戦記とは設定が大分違いますが、主人公がこちらはソニアですから、違った描写になると思うので、そういうキャラの駆け引きをみていただけたらなと。
魔双戦記の方もよろしくお願いします。
またお会いしましょう。




