第二十三話 男姫!? 女姫?!
そうして、しばらく時間がたち、夏菜たちはアジトに帰っていた。
夏菜は風呂に入っていた。
ダンが夏菜にバスローブを持っていこうとして、通路を歩いてきていた。
「姫さまーぁッ、姫様ぁッ、バ、バスローブお持ちしました」
「あ、ダンね、ありがと。そこにおいておいて」
「はぁーい」
ダンは、風呂場の前で止まり、近くにあった、荷台にバスローブをおいた。
ダンの顔は真っ赤だった。
女性免疫がまったくなさそうだった。
というのも、好きな人がいるわけだから、なおさらか。
「(みちゃいけないけど、ちょっとくらいならいいよな)」
ダンは騎士団の規律を破り、いけないのがわかっていても、少しだけみようとした。
風呂場を仕切っている、カーテンを少しだけめくった。
そこに、みえたものはとんでもない光景だった。
「(は、裸? あ、あれ、胸がない。あ、あのい、一物は男?)うそだろー」
「な、なに、嘘だろーっておおきな声で。聞こえてるよ、ダン」
夏菜はダンの声がしたほうを向き、カーテンを開けてみた。
ダンの姿はどこにもなかった。
動転して、ダンはその場を立ち去っていた。
「あ、あれ、さっきいたのに、いない? どうしたんだろう? ん、え、うそ」
夏菜もそのまさかにきづいた。鏡に自分の裸が映っていたからだ。
「鏡に映ってるの、何? 胸がなくなって、胸板になってる? 下半身のあれ、なに?」
鏡に映っていたのは自分の女性の体が、全て、上から下まで、男の体になっていたのだ。
女の子の細腕も、歳相応の筋肉質な体になっていた。
「う、うそでしょー、男になってるじゃない! なにこれー」
夏菜は、仰天してその場で倒れてしまった。
口をかくかく動かしながら、気を失った。
だいじょうぶなのか。
☆☆ ☆☆
ダンが急いで走ってきた。
みな、作戦室にいた。
「み、みんな、大変だ、姫さまが男になった」
「はぁ? ダン、お前、熱あるんじゃないか?」
レイがそういい、ダンの額に手を当てて、熱がないか、確認した。
熱はなさそうだ。
続けてダンがいった。
「ほんとなんだってば、あ、あそこまで男に」
「おまえ、それはどういうことだ、姫様のって、風呂をのぞいたんだな」
アミルラナが鋭いところをつく。
さすがだ。
ダンの様子が変わって、おろおろしだした。
「た、隊長どの、あ、あのその、それは」
「不逞をするなというのは、我がホーリーアークの騎士道ではないか。そこに座れ、体罰だ」
「す、すみません。座ります」
アミルラナの厳しい言葉を聞くと、素直にダンはその場に座った。
となりにいたライが大笑いしながらいった。
「あはは、ダンらしいな。好きな子ができたら、すぐこれだ。お前のぞいたことなんてなかったんじゃないか」
「でも、どういうことだ、ソニア姫様は、ちゃんと胸もあったし、喉仏もなかったじゃないのか?」
レイがするどいことをいう。
レイの指摘はたしかだった。
みな、一様にうなずいた。
だが、アエリアだけが難しい顔をしていた。
「おかしな、話だ。気になるな。お前、別人をみたのじゃないか?」
アミルラナがいう。
「いえ、風呂に入ったのは、姫様だけでした」
ダンがいった、そのときだった。
「へぇ~、よくみてるね、ダン」
「あ、ひめさ、姫さま、ごめんなさい。つい、すみません、すみません」
「でも、残念だったね、男の裸だったでしょ?」
誰かと思えば夏菜だ。
夏菜が風呂から出て作戦室にきたのだ。
その容姿はというと、やはり、男だった。
ダンは、申しわけなさそうな顔で終始、だまりこんでいた。
悪いことをしたのはわかっているからだ。
「すみません、アミルラナ隊長、俺をたたいてください」
「まったく、困ったやつだ」
アミルラナは困った顔で、腰に手をつき、ため息をついた。
夏菜がそのとき、腕まくりをした。
その腕は、筋肉質だった。完全に女の子の腕じゃなかったのだ。
その場にいた誰もが驚き、開いた口がふさがらなかった。
アミルラナが続けて言葉をつむいだ。
「姫様、たくましい筋肉ですね。そのお姿は?」
「ええと、あたしにもわかんないよ。お風呂に入ったらこうなってたから」
そのときだった。
口を閉ざしていた、アエリアが急になにかをいいだした。
「姫様、もしかしたらですが、異世界を渡る時、魔王バヌーラが最後に放った魔法かもしれません」
一同が、アエリアの言葉に面食らった。
「それの影響ってこと、アエリア?」
夏菜をチラッと見ると、アエリアはゆっくりうなずきながら、語りだした。
「確かに、魔法呪という魔法の呪いで性別を変える魔法があります」
「アエリア、その魔法というのは?」
「『魔法呪タイムメール』です」
「タイムメール? あたしにそれがかけられていたってこと? 治す方法はないの?」
夏菜が涙目でいう。
しかし、これだけはアエリアが魔法達者でも治せなかったのだ。
アエリアには、解除する方法はわかっていた。
「あるには、あるのですが、それは呪いをかけた本人が死なない限り、呪いは解けないのです」
アエリアが重い口調でいう。
一同は、その言葉を聞くと、暗い雰囲気が生まれた。
夏菜が不安そうな顔をした。
「え、じゃぁ、バヌーラを倒さない限りあたし、この男のままってことなの? そんなのやだー」
夏菜は男の容姿で、泣きさけんだ。
みな、親身になって、だまりこんでいた。
そのとき、アエリアが話をきりだした。
「いいえ、容姿は女の子に戻りますよ。この魔法は六時間おきに性別が変わるというものです」
「え、ということは六時間したら?」
「そうです、元のからだに戻ります」
アエリアは、夏菜を明るくさせようと、笑顔でいった。
夏菜がその言葉を聞いて、笑顔になった。
ほっとしたのだ。女の子に戻れるから。
そして、夏菜はいった。
「みんな、落胆しないで。あたしのことじゃない。顔をあげて。男の容姿のときだけ、名前の呼びかた変えようか。みんなソニア姫って男なのに言いにくいでしょ?」
「まぁ、確かにそうですが、しかし」
アミルラナが不服そうな顔をした。
その場にいる誰もが、素直にうなずけなかった。
「アミルラナさん、いいのよ。気にしないで、そうね『カナヤン』って偽名でどうかな?」
「カナヤンですか? そういうのでいいのですか?」
「だって、男だから。あたし、男姫ね。でもこの容姿のときだけよ。女の子のときはソニア姫とかカナって呼んでね」
「了解です」
アミルラナは夏菜の明るい言葉に同意して、笑顔で返した。
ダンがおもむろに口を開いた。
「男姫さまか」
ダンが、そういった矢先だった。
☆☆
おつかれさまです。
読者様も疲れましたね。
疲れているのにこんな時間帯にアップして読んでいただいてる方にはほんと感謝です。
ありがとうございます。
次は今日の22:00アップです。
もうすぐしたらファイ出てきます。
魔双戦記の方もよろしくお願いします。主人公がこちらはファイですが。
またお会いしましょう。
寒いので風邪にお気を付けください。




