第十一話 ラクイン王の想い
爆発がやみ、砂じんが収まると、血を吹き出しながら、魔王バヌーラがき然とたっていた。
「ぐはぁッ! 見事だ、ラクイン王、元勇者だけのことはあるな。俺さまが闇の魔法で強化した鋼のからだを切りさきおった。だが、お前のからだは生身。魔法できたえられた俺さまの肉体とはわけがちがうぞ、ははは、勝負あったな」
魔王はいう。ラクイン王もさすがにこの技をくらって、無事ではなかった。
その場で肩をおさえ、かがみこんでいた。
夏菜が、傷ついた父の前に立った。しかし、みえていないようだ。
遠くを見るように、ラクイン王は夏菜の存在に気付きもしなかった。
「(あたしの声がきこえていない。姿も見えないの?)」
夏菜は涙を手でぬぐった。
どうにかして、気付いてほしくて、ラクイン王を助けたかったのだ。
「く、くそ、この子だけでも」
ラクイン王は、目の前に落ちていた聖剣エクスキャリバーをひろい、後ろにいた赤子をみやった。赤子は無事だった。赤子の泣く声がきこえた。
「(あたしのお父さんを殺さないで!)」
魔王の前に夏菜は両手を地面に平行に広げ、たちはだかった。精一杯の気持ちだった。
「ん、なんだ、殺気を感じる?」
魔王バヌーラが何か感じたのか、言葉をもらした。
魔王ならみえているかもしれない、夏菜の姿を。
だが、夏菜の力ではどうにもならない相手だったのは確実だった。
「ソニア!」
何かみえたのか、ラクイン王は夏菜のいるほうを向き、名前を呼んだ。
死ぬ間際に、自分の赤子の成長した姿が、みえていたのかもしれない。
夏菜も目に涙がたまっていた。
「(お父さん、あたしはここにいます。今、助けます)」
「ソニアよ、お前だけは助ける。命と引き換えにユメリアの守護神を呼び寄せる」
そして、夏菜はラクイン王のいるほうへ、からだを飛ばして移動させていく。
ラクイン王は、夏菜が近付いてきたほうに手を向けていった。
なにか秘策があるのだろうか。守護神とはいったい?
傷ついたからだで、魔力も使い果たし、いったいどこにそんなりょりょくがあるのだろうか。
魔王がくってかかった。
「何をグダグダいってるんだ? 赤子に最後の言葉か。地獄に送ってやる余興をしてるというのにな。ははは」
「くそ、だが、誤算だったな。聖剣エクスキャリバーには、剣に宿っている聖魔法の力で神を召喚することも可能なんだぞ?」
ラクイン王はいうと、ニヤリと不敵な笑みをみせた。
「な、なに? 召喚だと」
魔王が動揺し、一瞬、辺りを見渡した。
しかし、焦ったが召喚魔法陣はどこにもなかった。
「最後の力だ! いけぇ、エクスキャリバーよ!」
ラクイン王は最後の力で、思いっきり聖剣を壁に向かってなげつけた。
見事にそれは修道院の十字架がある後ろの壁画に突き刺さった。
「壁画に刺さっただと?」
「『召喚術フォースギア!』」
最後の力をふりしぼって、ラクイン王は雄たけびをあげて、術を発動させた。
そのときだった。壁画に異次元とつながるワープゲートのようなものが現われた。
時空との隔たりを象徴しているものだった。
「な、なんだ壁画が」
「よし、異次元の扉を開いた。成功だ。頼んだぞ、守護神よ。わが子を助けてくれ。ぐはぁ」
ラクイン王は、異次元の扉をみると、吐血し、前に倒れこんだ。これが、最期の姿になっていた。
「おとうさーん」
姿が見えない夏菜は、泣き崩れ、ラクイン王に抱きついた。見えない体でラクイン王を優しくつつんだ。
涙が、縦に流れ、何回もやりきれなくて、夏菜は泣きながら地面をたたいた。
実の父親が夏菜の赤子を助けるため、必死にやった最後の手段だったのだ。
しかし、上手くいくのか。
「ほほう、息絶えたか。命の力を最後の魔法力に変えたのだな。命に代えてまで赤子を守りたかったようだが、残念だな。チェックメイトだ、赤子よ」
そういい、ほふり、魔王はゆっくりと、赤子のいるほうへ歩みを寄せていく。
「許せない。絶対に許せない!」
夏菜は剣幕をかえて、ふりかえり、魔王をにらみつけた。
しかし、かなう相手ではなかった。
夏菜もそれはわかっていた。
だが、父の仇を討ちたい。そう思っていた。
そして、魔王剣を、赤子の目の前でふりかぶった。
「しねぇ」
赤子の、のど首めがけて剣がふりかざされた。直撃だ!
あたれば、確実に死に至る。
「なに? 剣が刺さらぬ? 誰だ?」
なんと、貫通するものと思われた剣が赤子の顔の前で止められたように、一つも動かなかった。これはいったいどういうことだ?
なにかのバリアがはられているようだった。
そのとき、魔王の後ろから、精悍な声がした。
「魔王バヌーラ、そのお方の意志を私が継いだ。その子を殺させはしないぞ」
なんと、背中に羽が生えた美麗な人が、その場に現われていた。
もしや、ラクイン王が最期に召喚した人物なのか。召喚に成功したのか。
「有翼だと? お前は天使か?」
「さぁな、ユメリアの守護神アエリアだ。お前の悪事、見逃すわけにはいかぬ」
アエリアと呼ばれた守護神は、厳しい口調だった。許せなかったのだ。
「(あ、アエリア? あたしをこのときも助けてくれたんだ)」
夏菜はポケッとアエリアをみつめていた。
うれしかったのだ。昔にも助けられていたことを知って。
なにやら、そのとき階段を駆け上がってくる音がした。
☆☆
おつかれさまです。
読者様もつかれましたね。
帰り道気を付けてくださいね。
遅い時間帯も早い時間帯も見てくださっている読者様には一番感謝です。
ありがとうございます。
ファイは出てきますのでしばらくお待ちを。
中々でてこないだけで、出ないのではないです。
意外と連載していると出てくるところが早いように思っていたのですが、中々です。
今日また時間があれば更新します。
2300すぎとかそこらへんでしょうか。
またお会いしましょう。
読者様も感染症にはお気を付け下さい。
ほんとほいみとか、けあるとか某rpgの回復魔法ほしいですよね、無理ですが。
書いていると、魔双戦記の場合ですが、この魔法いいなというのがあります、現実にあればなと思うのが。
そちらの方も気が向いたら見てもらえるとうれしいです。




